わたしたちの県議会 茨城県議会

平成16年第3回定例会で可決された意見書・決議

《意見書》
PET検査普及のための放射性医薬品の供給方法に関する意見書
たばこの吸い殻の投げ捨て防止を求める意見書
「国庫補助負担金等に関する改革案」の確実な実現に関する意見書
ゆたかな教育を実現するための教員の定数加配等に関する意見書
つくばエクスプレスの安全確保に関する意見書
神栖町における農業用井戸水及び米の有機ヒ素化合物対策に関する意見書
《決議》
公立小・中学校の教科用図書採択地区の見直しを求める決議


PET検査普及のための放射性医薬品の供給方法に関する意見書


がん克服のためには,早期に発見し早期に治療することが重要であり,この点においてがんの発見に有効であることが明らかになってきたPET検査(陽電子放射断層撮影検査)が注目されている。
PET検査体制を整備するためには,PETカメラのほかにFDG製剤を確保しなければならず,この製造のためには加速器(サイクロトロン等)やFDG合成装置を整備する必要がある。
現行の薬事法や医療法では,ある医療施設内で製造されたFDG製剤を他の医療施設で使用することは認められていないため,PET検査実施に当たっては,FDG製造設備を各施設が単独で整備せざるを得ない状況にあり,初期投資や維持費に多額の経費を要することとなり,PET検査普及の障害になっている。
一方,製薬メーカーはFDGを医薬品として製造販売すべく薬事法の承認申請を行っているが,半減期が110分と短いことや予定している製造工場が10カ所程度であるなど,医薬品として承認された場合でも全ての医療施設に供給することは困難である。
そこで,医療機関で製造されたFDGが安全性を確保したうえで他施設でも使用することができるよう関係法令の見直しや運搬基準等の策定等を行うよう要望するものである。

以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。



たばこの吸い殻の投げ捨て防止を求める意見書


茨城県では,良好な生活環境を保全するため,「地球環境保全行動条例」を制定し,環境保全のための行動を率先して推進するとともに,条例に基づき「ごみ散乱防止基本方針」を定め,たばこの吸い殻を含むごみの投げ捨て禁止の実践活動を促進している。
また,県内多くの市町村においても「ごみ散乱防止に関する条例」を制定し,たばこの吸い殻の投げ捨てを禁止しているところである。
しかしながら,喫煙者のマナーの欠如により,道路など公共の場所におけるたばこの吸い殻の投げ捨ては,依然として後を絶たない状況にあり,これを防ぐには,喫煙者一人ひとりの意識高揚はもとより,たばこの吸い殻の投げ捨てはしないという自覚と行動につながるようなより実践的な取り組みが必要である。
ついては,喫煙者のマナー向上を図るため,下記事項について要望する。



たばこの箱やたばこ小売店の店頭,たばこ自動販売機に「喫煙マナーをまもり,吸い殻のポイ捨ては絶対しない」旨の表示をするよう日本たばこ産業株式会社を指導すること。

以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。



「国庫補助負担金等に関する改革案」の確実な実現に関する意見書


「三位一体の改革」は,地方の自主性・自立性を高めることにより地方分権を推進しようとするものであるが,改革の初年度にあたる平成16年度は,国の財政再建のみを優先させ,真の地方分権改革とはおよそかけ離れたものとなった。
こうした中,「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004」(平成16年6月4日閣議決定)において,概ね3兆円規模の税源移譲を目指すこととされ,その前提として,政府から地方公共団体に対して,国庫補助負担金改革の具体案を取りまとめるよう要請がなされた。
地方六団体は,政府からの要請を真摯に受け止め,「国庫補助負担金等に関する改革案」を取りまとめ,去る8月24日,政府に対して提出したところである。
改革案は,単に税源移譲の対象とすべき国庫補助負担金のリストの提示にとどまらず,改革案提示にあたっての前提条件,「三位一体の改革」の全体像,更には,国による関与・規制の見直しなど広範な提案を行うものであり,真の地方分権改革の推進に向けての地方の強い姿勢を示すものである。
しかしながら,国の平成17年度概算要求においては,各省庁が地方六団体の改革案と相いれない要求を行っており,改革の行方に大きな危惧を抱くものである。
よって,国においては,地方六団体の改革案を真摯に受け止め,その実現に向けて,責任を持って全力で取り組むことを強く要望する。

以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。



ゆたかな教育を実現するための教員の定数加配等に関する意見書


二十一世紀を迎え,豊かな人間性と創造性に富み,自らの能力・適性・興味・関心等に応じて主体的に行動できる人材を育成していくことは大変重要なことである。
このため,学校教育では,基礎学力の定着の上に児童生徒の一人ひとりの可能性を余すことなく発揮できるよう,個に応じたきめ細かな指導を推進することが不可欠であるとして,平成13年に「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」が一部改正され,平成13年度を初年度として5年間で教職員定数の改善を図るとした,少人数指導加配を柱とする「第7次公立義務教育諸学校教職員定数改善計画」が示されるとともに,学級編制の弾力化に関する規定が整備されたところである。
しかし,この改正においては,総合的な学習の時間など新たな教育課程や,不登校,いじめなどの教育課題に対応する教員の加配措置に係る改善がなされていないこと,また,都道府県の実態に応じて学級編制の弾力化が図れるとしたことは高く評価されるものの,これに必要な国からの定数加配や財源措置がないことなど,まだまだ充分な改善計画とはいえないのが実情である。
よって,政府においては,「第7次公立義務教育諸学校教職員定数改善計画」の完全実施を実現するほか,総合的な学習の時間など新たな教育課程や,不登校,いじめなどの教育課題に対応する教員の加配措置に係る改善を含めた,新たな教職員定数改善計画を策定するとともに,都道府県が行う学級編制の弾力化に伴って必要となる教員の定数加配や財政措置を講じるよう強く要望する。

以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。



つくばエクスプレスの安全確保に関する意見書


つくばエクスプレスの建設は,茨城県にとり,つくば周辺の拠点性の向上及び常磐線の混雑緩和に寄与するとともに,豊かで快適な生活を実現する未来型職住近接都市を目指す緊急かつ重要なプロジェクトであり,一日も早い開業を県民あげて待ち望んでいるところである。
こうしたなかで,過日,萱丸高架橋において一部不良工事の事実が確認されたことに続き,一部雑誌に南千住駅における不良工事の件が掲載されたことは誠に遺憾である。
人命を預かる公共交通機関の使命として,安全の確保は最優先に取り組むべきものであり,安全性に対しては万全の対策を講ずる必要があることはもちろん,開業時において利用者が安心して鉄道を利用できるよう措置を講ずるべきである。
ついては,つくばエクスプレスの安全確保に向けて,関係機関における安全確認の徹底等について指導を強化されるよう要望する。

以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。



神栖町における農業用井戸水及び米の有機ヒ素化合物対策に関する意見書


神栖町において,昨年3月,自然界には存在しない旧日本軍に由来する可能性が高い有機ヒ素化合物であるジフェニルアルシン酸が検出されて以来,国,県及び町が一丸となって住民の健康診査,健康被害者に対する支援,飲用井戸水汚染源調査等を精力的に行ってきたが,いまだ原因が解明されていない状況にある。
このような中,今般,新たに農業用井戸水及び精米から有機ヒ素化合物が確認されたことは誠に残念である。今回の検出に伴い健康上の悪影響が生じるおそれは少ないとされるものの,その毒性が解明されていないことから健康への影響が懸念されるとともに,精米の流通への影響など風評被害の拡大が危惧されるところである。
よって,国においては,引き続き健康被害者に対する支援や原因究明に努めることは当然のことながら,更に被害農家の救済,風評被害防止のため,早急になお一層の対策の充実強化を講じるよう,次の事項について強く要望する。



農業用井戸水及び精米の一部から有機ヒ素化合物が検出されたことを踏まえ,有機ヒ素化合物の汚染の原因解明を急ぐとともに,モニタリングの充実を図ること。
有機ヒ素化合物の毒性や,その曝露による健康影響に調査研究を進めるとともに,当該精米摂取による有機ヒ素化合物の曝露が想定された場合には,「緊急措置事業」の対象とすること。
農業用井戸水及び有機ヒ素化合物が検出された精米の耕作者については,十分な支援策を講ずること。

以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。



公立小・中学校の教科用図書採択地区の見直しを求める決議


現在,茨城県は「義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律」に基づき,公立小・中学校の教科用図書の採択地区を7つに定めているところである。
しかし,これらの採択地区の中には22市町村にまたがる広域な地区もあり,これは各市町村の教育委員会の独自性,また市町村の教育に対する責任の自覚を妨げかねない側面を有している。
今般,教育行政においても義務教育費国庫負担制度において総額裁量制が導入されたように,今後益々地方分権が進むと共に,それぞれの地域の特性を生かす教育が求められていく上で,こういった広域の採択地区は障害となると考えられる。
よって,公立小・中学校の教科用図書の採択地区については,市もしくは郡単位とするよう求めるものである。

以上,決議する。

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