平成20年第4回定例会で可決された意見書
《意見書》
茨城空港の活用に関する意見書
近年,経済社会活動のグローバル化と各国の生活レベルの向上により,世界の航空需要は飛躍的に伸びるとともに,ローコストキャリアが急速に台頭し,ビジネスジェットが世界中で利用されるようになるなど,新たな市場も広がっている。
我が国においても国際航空需要の伸びは首都圏を中心に著しく,2010年に羽田・成田両空港の発着枠が拡大されても,近い将来には再び不足すると予測されており,また,首都圏に乗り入れ希望の多い国際・国内チャーター便及びビジネスジェットについても両空港の発着枠の確保は困難となっている。
我が国が世界の中で取り残されないためには,首都圏の受け入れ体制の整備が急務であり,首都圏で三番目の空港である茨城空港は,茨城県を中心とした関東北部地域の航空需要に対応することはもとより,首都圏の航空需要の一翼を担うものとして,大変重要な意義をもっている。
このため,茨城空港は,従来の国内線に加え,国際線の就航にも対応できるようにするとともに,羽田・成田両空港との差別化も考慮し,ローコストキャリアも含めた航空会社の運航コストを低減化できる工夫を行ったところである。また,茨城空港は既存の自衛隊の飛行場を活用するため,建設費,維持管理費が少ないという特徴を持っており,羽田・成田両空港を補完する低コストでコンパクトな空港を目指している。
さらに,首都圏において地震災害が発生した場合,空港は,被災地域と外部地域を直接結ぶ緊急輸送拠点となるとともに,地震災害時においても航空ネットワーク及び背後圏における経済活動の継続性を維持するなどの役割を担う必要がある。国においては,羽田・成田両空港の滑走路,航空保安施設等の耐震性を向上することとしているが,既存空港の活用と組み合わせることによって,より少ない投資で必要最小限の機能を確保することが可能となる。
以上のことから,国においては,次のとおり茨城空港の活用を図られるよう強く要望する。
- 茨城空港を首都圏第3の空港と位置付け,国際・国内定期便はもとより,チャーター便及びローコストキャリアの拠点空港として活用できるよう,着陸料,航空機燃料税,航行援助施設利用料を引き下げるとともに,首都圏におけるビジネスジェットの拠点としても位置付け,国が必要な基盤整備を行うこと。
- 災害時に茨城空港が羽田空港,成田空港の代替空港として活用できるよう,国が大型機の離着陸を可能とするための基盤整備を行うこと。
以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
青少年を有害情報から守る携帯電話の
利用環境の整備を求める意見書
携帯電話の急速な発達・普及は,利用者である国民に大きな利便性をもたらす一方で,有害な情報は,発達期の青少年の安全かつ健全な成長を阻害する恐れがある。
とりわけ,わいせつ又は児童ポルノ画像や児童売春の誘引,違法薬物の販売に関する情報,出会い系サイトや,他人の悪口や誹謗中傷を載せたサイト等の有害な情報等の氾濫は,大きな社会問題となっており,早急な対策が求められている。
こうした中,「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」が制定され,来年4月から施行されるところである。
本法律の施行により,青少年が安全に安心してインターネットを利用することが可能となることを望むものであるが,一方で,青少年が有害情報に触れる機会は依然として残されている。
このため,当県では,小・中・高等学校等において情報モラル教育の充実を図るとともに,「茨城県メディア教育指導員」を養成し,ボランティアによる青少年や保護者に対するフィルタリングの普及啓発を進めるなどの取り組みを行い,成果を上げているところである。
青少年が有害情報に接触する機会を減らすためには,その閲覧を防ぐフィルタリングが有効であり,同法において,携帯電話事業者は,契約の相手が青少年の場合には,フィルタリングサービスの利用を条件としてその役務を提供することが義務づけられている。しかし,保護者がサービスを利用しない旨の申し出をした場合にはその限りでないとされており,保護者の認識が不十分な場合,青少年が有害情報に接する危険性が大きい。
よって国においては,青少年を有害情報から守るため,下記事項について特段の配慮をされるよう強く要望する。
記
- 来年4月から施行される「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」について,フィルタリングサービスの普及が進むよう国民の理解を促進するなど,適切かつ効果的な運用を図ること。
- フィルタリング機能の解除後に再設定をしない場合でも,一定時間経過後は自動的に再設定されるサービスを導入するよう,関係事業者に求めること。
- フィルタリングの対象となる有害サイトと非有害サイトが,適切に区分されるよう,関係事業者に求めること。
- インターネットの安全・安心な利用のための啓発を行うボランティアの養成や,啓発講座の開催,啓発資料の配布等,地域での啓発を推進すること。
- 小・中・高等学校等において,児童生徒のみならず,保護者や教員も対象にした情報モラル教育の充実を図ること。
以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
衆議院議員選挙における中選挙区制の復活を求める意見書
衆議院議員選挙は,平成6年の公職選挙法改正以降,小選挙区比例代表並立制で実施されている。
政策本位,政党本位の選挙ができる,政権交代の可能性が高まり常に緊張感ある政治が行われると謳われて導入された小選挙区制であるが,むしろ国民の政治不信,無関心は高まっている。
そもそも小選挙区制は,死票が多く当選者以外に投じられた民意が議席に反映されないこと,候補者が少なく有権者にとっての選択肢が少ないこと,選挙区が狭く議員と住民が密接になることから,地域課題の解決に没頭し国家的課題に取り組む議員が少なくなること,与野党とも選挙対策として大衆迎合的施策に走りやすいことなど,多くの問題を抱えており,それらが制度導入後4回の選挙を経て露呈してきている。
よって,国はこうした状況を真摯に受け止め,小選挙区比例代表並立制を廃止し,中選挙区制を復活させるよう強く求める。
以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
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