令和6年第3回定例会で可決された意見書・請願

《意見書》

《請願》


地方議会の本会議へのオンライン出席を可能とする法改正等を求める意見書

 本県議会では、新型コロナウイルス感染症の流行前から、タブレット導入を検討し、平成31年の茨城県議会ICT化検討会議での協議等を経て、令和2年6月から導入し、本会議や委員会等で活用するなど、議会運営におけるICT化の取組を積極的に進めてきた。

 令和2年9月には、茨城県議会委員会条例を改正し、委員等がオンラインにより委員会へ出席して議決に加わること等を可能としたところであるが、地方自治法に規定する本会議への「出席」は、国において「現に議場にいること」と解されていることから、議員がオンラインにより本会議へ出席したとしても、定足数や議決の要件である「出席」扱いとはならない現状にある。

 しかしながら、感染症のまん延や災害の発生などの緊急時においても議会機能を維持し、また、女性や若者など多様な人材の意見を地方議会へ反映していくためには、委員会と同様、本会議においても、オンラインにより出席した議員が議事全般を行うことができるよう措置を講ずる必要があると考える。

 国の動きとしても、令和5年4月の地方自治法の一部を改正する法律案可決の際の附帯決議において、「多様な人材が地方議会に参画できる環境を整備することの重要性」に鑑み、オンラインによる本会議への出席について「国会における対応も参考としつつ丁寧に検討を進め、その結果に基づいて必要に応じ所要の措置を講ずること」とされている。

 よって、国においては、地方議会が果たす役割の重要性に鑑み、下記の事項について措置されるよう強く要望する。

 本会議へのオンラインによる出席が議事全般で可能となるよう、条例への委任も含め、地方自治法の改正や法解釈の変更など、必要な措置を講じること。

社会福祉施設職員等退職手当共済制度における保育所等に対する公費助成の継続を求める意見書

 社会福祉施設職員等退職手当共済制度は、社会福祉法人が経営する社会福祉施設等の職員の処遇改善により、職員の身分の安定を図り、もって社会福祉事業の振興に寄与することを目的としたものである。この社会福祉施設等のうち、保育所等については、女性の就業率が上昇傾向にある中、保護者の仕事と子育ての両立を支える重要な役割を担っている。

 本制度における保育所等の退職手当金の支給財源の負担割合は、国及び県が3分の2、事業主が3分の1であるが、国及び県による公費助成の在り方については、令和2年度の国の社会保障審議会福祉部会において、「他の経営主体とのイコールフッティングの観点等も踏まえて、更に検討を加え、令和6年度までに改めて結論を得る。」こととされている。

 この検討の結果、公費助成が打ち切られ、事業主が退職手当金の支給財源の全額を確保できなくなった場合には、職員への退職手当金の支給が不可能となり、これまで改善されてきた職員の処遇が不安定なものとなってしまう。また、これにより、保育人材の確保が現状よりも更に困難となり、ひいては少子化・子育て政策の推進の大きな支障となりかねない。

 よって、国においては、保育所等で従事する職員の身分の継続的な安定を図るとともに、少子化・子育て政策の更なる推進のため、社会福祉施設職員等退職手当共済制度における保育所等に対する公費助成の継続を強く要望する。

教職員定数改善及び義務教育費国庫負担制度堅持を求める意見書

 学校現場では、子どもの貧困・いじめ・不登校、教職員の長時間労働や未配置など、解決すべき課題が山積しており、子どもたちの豊かな学びを保障するための教材研究や授業準備の時間を十分に確保することが困難な状況となっている。豊かな子どもの学びや学校の働き方改革を実現するためには、加配教員の増員や少数職種の配置増など教職員定数改善が不可欠である。

 令和3年3月の義務標準法の改正により、小学校の学級編制標準は、段階的に35人に引き下げられることとなったが、今後は、小学校だけにとどまることなく、中学校でも35人学級の早期実施が必要である。加えて、きめ細かな教育を進めるためには、更なる学級編制標準の引下げ、少人数学級の実現も不可欠である。

 義務教育費国庫負担制度については、平成18年度に国庫負担率が2分の1から3分の1に引き下げられた。厳しい財政状況の中、独自財源により人的措置等を行っている地方自治体もあるが、自治体間に教育格差が生じることは大きな問題である。子どもたちが全国のどこに住んでいても、一定水準の教育を受けられることが憲法上の要請であり、豊かな子どもの学びを保障するためにも、国における定数改善に向けた財源の確保、国庫負担制度の堅持、更には2分の1への復元が不可欠である。

 よって、国会及び政府においては、地方教育行政の実情を十分に認識され、地方自治体が計画的に教育行政を進めることができるよう、下記の措置を講じられるよう強く要請する。

  1. 中学校での35人学級を早急に実施すること。また、更なる学級編制標準の引下げ等少人数学級の推進について検討すること。
  2. 学校の働き方改革・長時間労働是正を実現するため、加配教員の増員や少数職種の配置増など教職員定数改善を推進すること。
  3. 教育の機会均等と水準の維持向上を図るため、地方財源を確保した上で義務教育費国庫負担制度を堅持すること。

防災・減災、国土強靱化対策の更なる推進を求める意見書

 近年、異常気象の常態化・局地化が進む中、昨年6月に改正国土強靱化基本法が成立し、「国土強靱化実施中期計画」の策定が法定化されるなど、国土強靱化の取組が切れ目なく、より継続的・安定的に推進されることになった。

 一方、本県では、令和元年東日本台風に続き、昨年6月には令和5年梅雨前線による大雨及び台風第2号、9月には令和5年台風第13号の影響による大雨に見舞われ、家屋等の床上・床下浸水や道路への土砂流出、河川護岸の崩壊など甚大な被害が発生した。

 このような中、近年の気候変動により頻発化・激甚化する自然災害から国民の生命と財産を守るため、令和3年度より新たに対策が重点的・集中的に講じられることとなった「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」を着実に実施するとともに、こうした取組の更なる加速化・深化を図ることが極めて重要である。

 また、我が国を取り巻く環境は、物価高騰による影響などにより、経済の下振れリスクが高まる中、税収の減少や社会保障関係費、インフラ施設等の老朽化対策費の増加など、厳しい財政運営が懸念される。

 以上のことから、下記の事項を実施するよう要望する。

  1. 令和元年東日本台風、令和5年梅雨前線による大雨及び台風第2号並びに台風第13号等により被害を受けた河川等の迅速な災害復旧に取り組むとともに、再度の災害発生を防止するための改良復旧に必要な予算を確保すること。
  2. 「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」の最終年度となる令和7年度においても必要な予算・財源を確保し、計画的に事業を推進するとともに、「国土強靱化実施中期計画」を令和6年内の早期に策定し、5か年加速化対策後も、予算・財源を別枠で確保し継続的に取り組むこと。
  3. 久慈川の災害復旧・復興などで、迅速かつ機動的に実施されている国の権限代行が円滑に推進されるよう、更なる地方整備局等の体制の充実・強化や災害対応に必要となる資機材の確保を図ること。
  4. 排水ポンプなどの浸水対策施設や宅地開発等における排水処理システム(河川への放流や調整池の設置等)が、近年激甚化する豪雨に対応した能力を確保できるよう、施設の構造基準や開発許可基準の見直しなどを含めた抜本的対策を行うこと。
  5. 経済の下支えとなる公共投資を確実に推進していくため、当該公共投資に係る地方負担を軽減する財政措置を講ずること。

教職員定数改善と義務教育費国庫負担制度堅持のための政府予算に係る意見書採択を求める請願

 学校現場では、子どもの貧困・いじめ・不登校、教職員の長時間労働や未配置など、解決すべき課題が山積しており、子どもたちのゆたかな学びを保障するための教材研究や授業準備の時間を十分に確保することが困難な状況となっている。ゆたかな学びや学校の働き方改革を実現するためには、加配教員の増員や少数職種の配置増など教職員定数改善が不可欠である。

 2021年3月、義務標準法の改正により、小学校の学級編制標準が段階的に35人に引き下げられた。小学校だけに留まることなく、今後は中学校での35人学級の早期実施が不可欠である。加えて、きめ細かい教育をするためには、さらなる学級編制標準の引き下げ、少人数学級の実現が必要である。

 義務教育費国庫負担制度については、2006年度に国庫負担率が2分の1から3分の1に引き下げられた。厳しい財政状況の中、独自財源により人的措置等を行っている自治体もあるが、自治体間の教育格差が生じることは大きな問題である。子どもたちが全国のどこに住んでいても、一定水準の教育を受けられることが憲法上の要請であり、国の施策として定数改善にむけた財源保障をし、ゆたかな子どもの学びを保障するためにも、国庫負担制度の堅持は不可欠である。

 こうした観点から、政府予算編成において下記の請願事項が実現されるよう、地方自治法第99条の規定に基づき、国の関係機関への意見書提出を請願する。

  1. 中学校での35人学級を早急に実施すること。また、さらなる学級編制標準の引き下げ等少人数学級について検討すること。
  2. 学校の働き方改革・長時間労働是正を実現するため、加配教員の増員や少数職種の配置増など教職員定数改善を推進すること。
  3. 教育の機会均等と水準の維持向上を図るため、地方財源を確保した上で義務教育費国庫負担制度を堅持すること。