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更新日:2017年12月1日
平成29年第4回定例会の開会に当たり、提出いたしました議案等の説明と報告を申し上げます。
まず、新しい茨城づくりに向けた取組みについてであります。
知事就任に当たり、私は、茨城県の持つ底力を最大限に引き出し、あらゆる分野で、新たな活力を生み出すための様々な挑戦を行うと申し上げました。そして、行政運営にあたっては、現場主義の徹底を図り、県庁全体で価値観や目標を共有し、一丸となって、未来に希望の持てる新しい茨城づくりのために全身全霊を傾注していくことを誓いました。
知事に就任してから2か月余りが経過しました。この間、県のセールスマンとして、県産品や県内の新たな取組みの紹介などの県政情報を積極的に発信しているところであります。また、本県が抱えている様々な課題についての認識を深めるため、機会を捉えて現場に足を運んでまいりました。県の施設だけでなく、本県が世界に誇る最先端の科学技術や農林水産物の生産拠点などを私自身の目で見て、現場の皆様から直接話を伺うことにより、本県の潜在的な可能性について確信を深めたところであります。
これまで限られた時間ではありますが、医療関係など県の施策に密接に関わりのある方々をはじめ、多くの県民の皆様と意見交換を行ってまいりました。その中で、「活力があり、県民が日本一幸せな県」づくりに向けた挑戦への決意を新たにいたしました。
私の挑戦を実現していくために必要となるのは、ビジョンを示す計画、施策を実施するための予算、それらを支える県庁の改革であります。
まず第一に、県政運営の基本方針となる新たな県総合計画につきましては、先の第3回定例会でも申し上げたとおり、来年9月を目途に策定するよう、準備を進めているところであります。策定にあたっては、新たに委嘱する総合計画審議会委員の皆様にも十分ご議論いただき、その議論を踏まえて検討を進めてまいります。
県総合計画に先駆けて策定する新たな県政のビジョンにつきましては、若手を含めた多くの職員と意見交換を行い、新たな発想による議論を進め、素案を取りまとめたところであります。今後、県議会をはじめ県民の皆様のご意見を踏まえ、年内を目途に策定してまいります。
これらにあわせ、地方創生を推進するための「茨城県まち・ひと・しごと創生総合戦略」につきましても、改訂版の素案をとりまとめたところであり、今後は新たな県総合計画と政策の方向性を合わせつつ、来年3月を目途に策定してまいります。
第二に、予算につきましては、私の挑戦を来年度当初予算で具現化することとし、要求上限を設けない知事特認枠などにより、県庁内の自由な発想を促しながら検討を進めております。なかでも特に重要と考えている、医療や教育、産業育成などにつきましては、施策の目標設定や事業アイディアの検討段階から、私が直接、若手も含めて多くの職員と意見交換を重ねております。
第三に、県庁の改革であります。県庁全体が挑戦する組織へと転換していくためには、生産性の向上・効率化や職員の意識の変革が不可欠であります。このため、先月28日に「仕事の生産性向上プロジェクト推進本部」を新たに立ち上げたところであり、今後、IT環境の充実をはじめとした、職員の働きやすい環境を構築してまいります。また、これまでの事務事業をゼロベースで総点検し、効果が低くなった事業の見直しを進めるなど、生産性の向上を進めているところであります。あわせて、新たな仕事の進め方に合った、組織の見直しも検討してまいります。
これらの取組みにあわせて、真に県民のために必要な仕事ができる県庁づくりを進めるため、現行の行財政改革大綱に代わる新たな行財政運営の方針を策定してまいります。県職員の挑戦する意識の強化、仕事の進め方の見直し、IT活用、メリハリの効いた財政運営などを盛り込み、来年3月を目途にとりまとめてまいります。
計画の策定、予算の編成、県庁の改革の三つの取組みを通じて、前例や常識を疑い、新しいことに挑戦していく基本的な姿勢を県庁全体で共有してまいります。そのうえで、目指すべき将来の姿とそれらに向けた施策の選択と集中などについて、引き続き、率先して検討を進めることにより、新しい茨城づくりに取り組んでまいります。
次に、森林湖沼環境税の課税期間の延長についてであります。
本県では、平成20年度に導入した森林湖沼環境税を活用し、間伐などによる森林保全対策や高度処理型浄化槽の設置促進などによる水質保全対策を進めてまいりました。
しかしながら、森林については、採算性が悪化したため所有者の経営意欲が減退し、管理が不十分な森林が増加しております。人工林の高齢林化が進み、水源涵養や土砂流出防止、地球温暖化対策などの公益的機能の低下が懸念されております。森林の公益的機能が持続的に発揮できるようにしていくためには、長期にわたって森林管理を継続していける体制を整備していく必要があります。
また、霞ヶ浦は流域に100万人近い人々が住み、農業、畜産業などが盛んに営まれていることなどから、琵琶湖並みの水質であるCOD3mg/L前後を達成することは極めて難しいと言わざるを得ません。しかしながら、湖水浴場が賑わっていた昭和40年代の水質であるCOD5mg/L台前半の達成に向けて、生活排水処理率100%を目指すなど、汚濁負荷量の着実な削減を進めていく必要があります。
このような中、森林湖沼環境税の課税期間が本年度で終了することから、税の専門家からなる自主税財源充実研究会において、来年度以降のあり方について検討を進めていただきました。また3月に県民アンケートを、10月にはパブリックコメントを実施いたしました。
そこでいただいたご意見、市町村や関係団体からのご要望、さらには県議会からのご提言などを踏まえながら、多くの職員とどのような施策が真に効果的かをゼロベースで議論してまいりました。その結果、施策の内容を大きく見直し、抜本的な森林保全対策及び霞ヶ浦浄化対策を検討していくことといたしました。
具体的には、自立した林業経営による長期的な森林管理の実現に向け、意欲と能力のある林業経営体への人工林の施業の集約化、霞ヶ浦に排出される汚濁負荷量の割合が高い生活排水対策の加速化、特に下水道等への未接続世帯の解消などに重点を置いてまいります。
これらの施策に必要な財源を確保するため、今定例会に、課税期間を4年間延長する改正条例案を提出いたしました。今後とも、県民や事業者のご理解とご協力をいただきながら森林の公益的機能の維持・向上や、湖沼・河川の水質浄化に積極的に取り組んでまいります。
次に、第74回国民体育大会及び第19回全国障害者スポーツ大会の開催準備についてであります。
去る9月30日から10月10日まで愛媛県で開催されました第72回国民体育大会において、本県選手団の総合成績は昨年から順位を一つ下げ、第23位でありました。
2年後の茨城国体において総合成績第1位を獲得するため、競技力向上対策本部をはじめ、茨城県体育協会や各競技団体がより一層連携し、スポーツ専門員の雇用や強化指定制度の活用などを推進し、さらなる選手の育成・強化に取り組んでまいります。
また、10月28日から30日まで、同県で開催されました第17回全国障害者スポーツ大会では、13個の金メダルをはじめ、合計30個のメダルを獲得する成績を収めることができました。障害者スポーツにつきましても、引き続き競技の普及や競技力の向上に努めてまいります。
今後とも、選手の活躍を通して、県民の方々が感動し、勇気と希望が持てる大会となるよう、関係機関が一丸となって、両大会の準備を進めてまいります。
次に、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催準備についてであります。
県を挙げて大会の機運を醸成するとともに、茨城カシマスタジアムにおけるサッカー競技や聖火リレーなど、本県における開催準備をしっかりと進めてまいります。また、大会を成功に導くため、関係団体等により官民一体となった推進組織である「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会茨城県推進会議」を先月24日に設立いたしました。
今後とも、関係団体等と連携して開催準備を着実に進めてまいります
次に、世界湖沼会議の開催準備についてであります。
先月1日、来年の本会議への参加を呼びかけるため、かすみがうらマラソンに毎年参加いただいております有森裕子さんを講師に招き、プレ会議を開催いたしました。
今後は、来年1月に実施計画を策定し、2月には会議への参加登録や論文等の募集を開始いたします。会議の開催により、本県の水環境に関する様々な取組みを世界に発信するとともに、水質浄化に世界各国の新たな知見を取り入れ、湖沼における環境問題解決の進展につなげてまいりたいと考えております。
次に観光振興についてであります。
本県をはじめ、北関東三県の観光や食などを広くPRするため、先月22日と23日の2日間、北関東三県及び金融機関等が連携した観光物産フェア「近くて便利!いばらき・とちぎ・ぐんま展」を都内において、初めて開催いたしました。
私自らが先頭に立ち、また、三県の官民が協力した取組みとして、首都圏の多くの皆様に対し、十分に魅力をお伝えできたと考えております。
また、海外観光客の誘客促進のため、「茨城国際観光大使」を創設し、その第一号として、先月9日に香港から日本への送客数ナンバーワンを誇るEGLツアーズの袁文英社長に委嘱いたしました。
今後とも、国内外に向けて本県観光の魅力発信や誘客促進に取り組んでまいります。
次に、企業立地の推進についてであります。
本年上期の工場立地動向調査によりますと、本県は電気業を除いた工場立地件数で全国第4位、立地面積で全国第3位、県外企業立地件数で全国第1位となり、引き続き、全国トップクラスの実績となりました。
こうした中、先月9日には、東京都内において「いばらき産業立地セミナー」を開催し、500名を超える出席者の方々に、本県の充実した広域交通ネットワークや魅力的な住環境などを積極的にPRしてまいりました。
また、分譲率が低い工業団地の早期処分を図るため、実勢価格を反映した分譲価格の見直しなどを指示し、他県との競合の中での優位性を確保できるよう、検討を進めているところであります。
今後とも、立地促進対策補助事業や茨城産業再生特区などの立地促進策を最大限活用し、企業誘致に全力で取り組んでまいります。
次に、日本原子力発電株式会社東海第二発電所の運転期間延長認可申請についてであります。
日本原子力発電株式会社は、東海第二発電所において本年5月19日から行っていた「運転期間延長認可申請に必要な評価」を終了し、先月24日、原子力規制委員会に対し、東海第二発電所の運転期間延長認可申請を行ったところであります。
本申請内容は東海第二発電所の安全性に関わるものであり、国に対する申請にあわせ、県に対しまして、日本原子力発電株式会社から原子力安全協定に基づく報告を受けたところであります。今後、県原子力安全対策委員会において、国の新規制基準を踏まえた安全対策とあわせて、報告された内容について、専門的・技術的な観点から検証を行ってまいります。
次に、道路の整備状況についてであります。
東関東自動車道水戸線につきましては、鉾田インターチェンジから茨城空港北インターチェンジまでの区間が来年2月に開通することとなりました。今後、地域間の交流や観光の活性化などが一層進むものと期待しております。残る区間につきましても早期開通するよう、国等に対して強く働きかけてまいります。
最後に、提出議案等について御説明申し上げます。
今回の提出議案は、予算の補正に関するもの1件、条例その他22件、報告2件であります。
まず、一般会計の補正予算についてであります。
今回の補正予算につきましては、国から内示のあった国補公共事業のうち10月補正予算に計上しなかったものや、(仮称)上曽トンネル及び(仮称)真弓トンネルの整備に係る環境調査、道路の冠水対策など、早急な事業着手が必要な事業について予算措置を講じることといたしました。
なお、私の公約を実現・実行するための本格的な対応につきましては、先に申し上げたとおり、平成30年度当初予算に向けて検討してまいります。
この結果、補正予算の総額は54億90百万円となり、補正後の一般会計予算の総額は、1兆1,246億16百万円となります。
次に、歳出の主なものについて申し上げます。
国補公共事業の追加44億63百万円
県単公共事業の追加10億27百万円
であります。
財源としましては、国庫支出金や有利な県債などを活用するとともに、所要の一般財源7億78百万円につきましては、震災復興特別交付税及び平成28年度からの繰越金を充当することとしました。
条例は、改正するもの10件であります。改正を行うものとしては、先に申し上げました「茨城県森林湖沼環境税条例の一部を改正する条例」や「職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例」などであります。
条例以外の議案としては12件で、「指定管理者の指定について」などであり、報告は、専決処分の報告であります。
以上で、提出議案等の説明を終わりますが、なお詳細につきましては、お手元の議案書等により御審議の上、適切な御議決を賜りますようお願い申し上げます。
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