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更新日:2023年2月28日
令和5年第1回県議会定例会の開会に当たり、提出いたしました議案等の説明に先立ち、県政運営に関する所信の一端を申し上げます。
はじめに、今月6日にトルコ南東部において発生した地震により、亡くなられた多数の方々のご冥福を謹んでお祈り申し上げますとともに、被災地が一日も早く復興し、被災された皆様が平穏な生活を取り戻されることを心から願っております。
また、新型コロナウイルス感染症により、亡くなられた方々のご冥福を謹んでお祈り申し上げますとともに、罹患された皆様に心よりお見舞い申し上げます。
新型コロナウイルスとの闘いは、早4年目を迎えました。科学技術が高度に発達した現代において、感染症が世界中でまん延し、連日のトップニュースになるこの現状を想像できましたでしょうか。コロナ禍において、私たちは、目の前の危機対応に多くの時を奪われ、社会経済活動も長い停滞を余儀なくされました。
そうした中、政府が本年5月8日から、感染症法上の位置付けを季節性インフルエンザと同様の5類に引き下げることを決定するなど、感染症対策は、新型コロナウイルスと共生し、社会経済活動の正常化を目指す段階へと、大きな転換期を迎えています。
一方、ロシアによるウクライナ侵略から1年が経過いたしましたが、情勢は長期化の様相を呈しております。第二次世界大戦の反省から、悲惨な戦争を二度と起こすまいと誓った国際社会において、国連常任理事国たるロシアの非道な暴挙を想像できましたでしょうか。先鋭化する米中対立やグローバル・サウスと言われる新興国・途上国の台頭などと相まって、国際社会の秩序が変容しつつあり、私たちは今、重大な岐路に立たされております。
この間、コロナ禍からの回復途上にあった世界経済は、エネルギーや食料の供給制約などを背景に、インフレ圧力が急激に高まりました。各国中央銀行は、度重なる政策金利の引上げなどにより金融を引き締め、その反動による世界的な景気後退が懸念されている状況にあります。
我が国におきましても、物価高騰には一向に歯止めがかからず、経済の先行きは不透明感を強めております。成長率や生産性が高まらず、物価高騰に見合う賃金上昇もままならない。昨年の歴史的な円安や現下の物価高騰などは、そうした日本経済の脆弱な姿を浮き彫りにしました。
かつて日本は、高度経済成長を遂げ、「Japan as No.1」とも称えられましたが、バブル経済崩壊後の長引く低成長により、現在、その姿は見る影もありません。過去の成功体験に縛られ、現状に甘んじ、将来に備えた大胆な規制緩和や制度改革に踏み出さなかったことで、産業の新陳代謝の遅れや労働市場の停滞などを招き、 様々な機能不全を引き起こしていると言っても過言ではありません。
加えて、日本は、昨年の出生数が統計開始以来、初めて80万人を割り込む見通しであるなど、予想を上回る急激な少子化と人口減少、超高齢化に直面しております。 今後、生産年齢人口が大幅に減少する中、新たな働き手の確保や生産性の向上が不可欠であります。また、人口減少による国内需要の先細りに対応するため、その活路を海外に見出していくことも求められております。
私たちはまさに、予測もしないことが次々と起こる「非連続の時代」の只中にいるのであります。
進まざる者は必ず退き、退かざる者は必ず進む。この激動の時代にあって、現状維持はもはや後退に等しく、前に進むために、今までやってきたことをどう変えるかを真剣に考えなければなりません。私たちには、過去の成功体験や現状維持の発想を捨て、自分たちの頭で考え、社会の大きな変化に素早く適応できるよう、積極果敢に挑戦し、未来を切り拓いていくことが求められているのであります。
私は、知事就任以来、「今後10年間が勝負」との強い危機感のもと、「挑戦」「スピード感」「選択と集中」の3つの基本姿勢を徹底し、困難な課題も先延ばしすることなく取り組んでまいりました。
その結果、企業誘致では、今月17日に発表した世界的なIT系コンサルティング企業など、これまでに累計で25社の本社機能の移転計画を認定し、約3,800人 の雇用創出に結びつけるとともに、昨年上期の首都圏から本県への本社機能移転企業 数が全国第1位の18社となるなど、好調を維持しております。
「儲かる農業」の実現では、かんしょの生産拡大に取り組み、農家1戸当たりの所得が2.4倍に増加するとともに、荒廃農地の再生面積が全国第1位となりました。 農産物の輸出では、輸出先や販売ルートを拡大したことにより、輸出額が約8倍に増加いたしました。
喫緊の課題である医師確保では、「最優先で医師確保に取り組む医療機関・診療科」の第2次目標に選定した茨城県西部メディカルセンターの循環器内科において、新たに自治医科大学から医師1名の派遣を受けることとなり、目標の7.5名に対し、これまでに7.2名を確保いたしました。
次世代を担う「人財」育成では、計画した全10校の中高一貫教育校を開設し、学びの質を向上させるとともに、校長の公募により、優れたリーダーシップや組織マネジメント能力を有する方を採用し、新たな発想に基づく学校運営を進めてまいりました。多様性を認め合う社会の実現では、パートナーシップ宣誓制度の自治体間連携を他の自治体に呼びかけたことで、これまでに4県2市と連携協定を締結いたしました。
また、好調な企業誘致やコロナ禍における地方移住への関心の高まりなどを背景に、2年連続して転入超過となりました。さらには、常に話題性のある取組を提供するなど、各種メディアでの露出拡大に努めた結果、本県情報のメディア掲載による広告換算額は約3倍に増加いたしました。
こうした成果は、自ら考え、仮説を立て、新しいことに果敢に挑戦する姿勢を貫いたことで成し遂げられたものであり、改めて、茨城は「やればできる」ことを証明できたものと考えております。
私は、人口減少が待ったなしで進行し、国内経済の規模縮小をはじめ、様々な困難が押し寄せることが懸念される中、コロナ禍が明けつつある今こそ、トップギアでグローバルに打って出なければ、本県の更なる発展は実現できない、との思いを強くしているところであります。
このため、ウィズコロナ・ポストコロナ時代において、茨城が世界に向けて大きく飛躍できるよう、まずは、差別化によって生み出される新しい価値や魅力を前面に出しながら新たな市場を切り拓き、県産品の海外展開やインバウンド誘客を強力に推し進め、海外に眠るチャンスを全速力で掴んでまいります。
さらに、県内企業の海外進出支援や外資系企業などの誘致、世界で活躍できる「人財」の育成のほか、外国人材が活躍できる環境の整備、茨城空港における国際線の路線拡大など、茨城の可能性を高める未来に備えた施策に果敢に挑戦してまいります。
加えて、本県発展の基礎となる、医療や福祉、防災といった県民の命を守り、安心安全につながる生活基盤の充実にもしっかりと取り組んでまいります。
私は、「活力があり、県民が日本一幸せな県」の実現を目指し、常にグローバルな視点と挑戦する気概を持ち、茨城の潜在能力を最大限引き出しながら様々な施策に邁進することで、必ずや本県が激動の「非連続の時代」を生き抜き、輝かしい未来を掴み取ることができるものと確信しております。
今後とも、「挑戦」「スピード感」「選択と集中」の3つの基本姿勢を徹底し、ウィズコロナ・ポストコロナ時代の「新しい茨城」づくりに全力で取り組んでまいります。
今回提案する令和5年度当初予算は、ウィズコロナ・ポストコロナ時代の「新しい茨城」づくりに挑戦するための予算であります。
「新しい豊かさ」、「新しい安心安全」、「新しい人財育成」、「新しい夢・希望」の4つのチャレンジを加速するために、グローバルな視点と挑戦の気概を持ち、茨城の潜在能力を最大限引き出した未来を見据えた施策を推進できるよう、取りまとめたものであります。
一般会計予算の総額は、1兆2,921億94百万円であり、令和4年度当初予算と比較して0.8パーセント、105億15百万円の増、新型コロナウイルス感染症に係る対策額を除いた比較では、5.3パーセント、588億59百万円の増となっております。
歳入につきましては、企業収益の増加に伴う法人事業税の増収などにより、県税収入を287億円増、当初予算としては過去最高の4,268億円と見込む一方、地方財政計画を踏まえ、普通交付税を2億円減の1,945億円、臨時財政対策債を101億円減の164億円と見込んでおります。
この結果、実質的な一般財源の総額につきましては、2.4パーセント、177億円増となる7,456億円を計上いたしました。
一方、歳出につきましては、一般行政費が、新型コロナウイルス感染症対策経費の減により、5.7パーセント、282億円減の4,664億円となっております。公共事業費は、特別会計及び企業会計を含む公共事業全体で、4.3パーセント、45億円増の1,089億円となっており、国の「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」などと歩調を合わせて計上した1月補正予算と合算した場合の比較では、2.9パーセントの増となります。
特別会計は13件で、総額4,583億30百万円、1.2パーセントの減、企業会計は6件で、総額1,638億51百万円、30.6パーセントの増となっており ます。
次に、令和5年度の主な施策について申し上げます。
第1は、新しい豊かさについてであります。
まず、質の高い雇用の創出等についてであります。
若者が望む質の高い雇用をできる限り多く創出できるよう、半導体や次世代自動車などの成長分野をターゲットに、戦略的な企業誘致を展開してまいります。
また、県施行の工業団地「フロンティアパーク坂東」において、造成前に立地企業を募る事前エントリーを実施していくとともに、旺盛な立地ニーズへの対応として、 ひたちなか地区の常陸那珂工業団地を拡張してまいります。
一方、産業構造が急速に変化する中、本県が持続的に発展するためには、成長産業への円滑な労働移動を進め、社会全体の生産性を高めていく必要があります。このため、先月30日に開催した産学官で構成する「茨城県リスキリング推進協議会」での議論を踏まえ、働く人が絶えず学び直すことができる環境の整備に、県全体で取り組んでまいります。
加えて、高度デジタル人材を育成し社会に輩出するため、IT短大として高い実績を誇る「県立産業技術短期大学校」について、令和8年4月の開校を目指し、大学校への移行を進めてまいります。
なお、これらの取組を推進するため、産業戦略部に「産業人材育成課」を設け、体制を強化してまいります。
次に、新産業育成と中小企業等の成長についてであります。
カーボンニュートラルにつきましては、脱炭素への貢献が期待される燃料として、比較的早期の社会実装が期待されるアンモニアに着目し、そのサプライチェーン構築に向け、来月24日、「いばらきカーボンニュートラル産業拠点創出推進協議会」の下にワーキンググループを設置することといたしました。
このワーキンググループのもと、必要なインフラ整備などについて具体化を図り、今後、国が募集・選定するカーボンニュートラル燃料拠点に、本県が全国のトップランナーとして採択されるよう取り組んでまいります。
また、県内中小企業の競争力を強化するため、産業技術イノベーションセンターが中心となり、新たなビジネス創出に意欲的な中小企業を対象に、ビジネスプラン構築に向けた伴走支援を行ってまいります。
次に、強い農林水産業についてであります。
本県農林水産業の持続的な発展には、所得の向上が何よりも重要なことから、農業の構造改革やブランド力の強化などに全力で取り組んでまいります。
まず、農業の構造改革では、米の消費量が年々減少する現状から、収益性の高い園芸品目や畜産などへの積極的な転換を図ってまいります。また、輸出による販路拡大や農地の集積・集約化による規模拡大を図るとともに、企業の農業参入などを推進してまいります。
次に、ブランド力の強化では、新たな肉質基準による新ブランド常陸牛の販売開始に向け、ブランディング戦略の策定を進めるとともに、豚肉の「常陸の輝き」について、銘柄を保証する証明書の発行など品質管理体制の強化に取り組んでまいります。
また、質と量ともに日本一のメロン産地の育成に向け、外観の美しい高級メロンづくりなど、価値を高める取組を推進するとともに、かんしょについて、生産拡大を加速するほか、干し芋の新たな品質基準を設定するなど、他の追随を許さない産地づくりを進めてまいります。
さらに、付加価値の高い有機農産物の供給能力向上を図るため、県北地域のモデル団地を更に拡大するとともに、県全域での有機JAS認証取得を支援してまいります。
林業につきましては、引き続き、森林湖沼環境税を活用し、規模拡大に意欲的な経営体を支援するほか、大規模建築物や木造ビルなどへの県産木材の利用促進による需要拡大を図ってまいります。
水産業につきましては、高値での取引が期待できるイセエビなどの養殖に取り組む漁業者などへのスタートアップ支援のほか、ICTを使った養殖事業の商業化に向け た実証に取り組んでまいります。また、シラウオについて、県が開発した新たな品質保持技術の普及促進、市場調査や成分分析に基づく商品規格の設定などに取り組み、 高価格商品の創出を図ってまいります。
次に、ビジット茨城についてであります。
昨年10月に対象を全国へ拡大した「いば旅あんしん割事業」につきましては、対象拡大後、60万人を超える利用があり、全国からの観光需要の取り込みにつながっていることから、引き続き、利用を促進してまいります。
また、稼げる観光地域の創出に向け、本県の強みである「アウトドア」を中心として、話題性のある新たな観光コンテンツの企画・造成や、キャンプ場などと豊富な食資源を組み合わせた付加価値の高いサービスの提供に取り組んでまいります。
特に、本年10月から実施する「茨城デスティネーションキャンペーン」では、昨年のプレキャンペーンに続き、多種多様な体験型コンテンツを提供するほか、JRグループ6社と一体となった集中的なプロモーションを展開し、全国に向け本県の魅力を強力にアピールすることで、多くの観光客を呼び込んでまいります。
次に、自然環境の保全・再生についてであります。
佳子内親王殿下のご臨席のもと、来月16日に、「偕楽園左近の桜植樹式典」を執り行います。令和元年9月の台風15号により倒木した左近の桜につきましては、令和3年3月に宮内庁から後継苗木をいただき、この度の植樹に至りました。左近の桜の復活に際しましては、多くの方からご寄附をいただいたところであり、県民の皆様とともに成長を見守りながら、次の世代へと継承してまいります。
また、皇族殿下のご臨席を仰ぎ、本年11月11日と12日の2日間、本県で開催する「第46回全国育樹祭」につきましては、潮来市の水郷県民の森でお手入れ行事を、水戸市のアダストリアみとアリーナで式典行事を執り行います。引き続き、関連行事やPR活動を展開し、森林・林業の魅力を茨城から全国へと発信してまいります。
霞ヶ浦をはじめとした湖沼の水質保全につきましては、流域からの汚濁負荷を削減するため、引き続き、森林湖沼環境税を活用し、浄化能力の高いNP型高度処理型浄化槽の設置促進や、家畜由来の堆肥の流域外における利用促進などに重点的に取り組んでまいります。
新たな産業廃棄物最終処分場の整備につきましては、昨年12月に日立市との間で、環境保全対策や地域振興などに係る確認書を取り交わしたところであり、引き続き、地域との調和を図りながら、施設の安全性の確保を最優先として整備を進めてまいります。
第2は、新しい安心安全についてであります。
まず、県民の命を守る地域保健・医療についてであります。
医師確保につきましては、救急や小児・周産期などの政策医療を担う地域の中核病院の医療機能を強化するため、引き続き、私自ら先頭に立ち、重点的に対策を進めるとともに、全国トップクラスとなる10大学、67名に増員した地域枠などによる医師の養成・定着を推進し、医師不足と地域偏在の解消に取り組んでまいります。
新型コロナウイルス感染症対策につきましては、引き続き、県民の命と健康、そして暮らしを守るため、医療提供体制の確保に努めながら、社会経済活動の正常化を目指してまいります。
また、新たな感染症の流行リスクへの備えとして、感染症の発生時やまん延時に果たすべき役割などについて、あらかじめ医療機関との間で協定を締結するなど、実効性のある医療提供体制の構築を進めてまいります。
次に、健康長寿日本一と福祉の充実についてであります。
がん対策につきましては、検診受診率が、コロナ禍での受診控えなどにより低下していることを踏まえ、市町村や企業、検診機関などと連携し、未受診者を対象に、本人のがん罹患の最大リスクを明示した通知を送付することで受診勧奨を行うなど、検診の重要性を周知するとともに、あらゆる機会を通じて、がんに関する正しい知識の普及啓発を図ってまいります。
また、循環器医療につきましては、筑波大学附属病院に設置予定の「茨城県脳卒中 ・心臓病等総合支援センター」が中核となり、医療機関相互における患者情報や診療計画の共有、非専門医も対象とした人材育成などに取り組み、患者の転退院の促進や再入院の予防を図ることで、地域における効率的な医療提供体制の構築を推進してまいります。
医療的ケア児につきましては、昨年12月に、国立病院機構茨城東病院に設置した 「茨城県医療的ケア児支援センター」が中心となり、市町村をまたぐサービスの利用調整を行うことで、医療的ケア児とその家族が、居住する地域に関わらず適切なサービスを受けられるよう支援してまいります。
あすなろの郷の再編整備につきましては、強度行動障害など最重度の障害がある方に対し、質の高いサービスを提供していくため、県立のセーフティネット棟の建設工事に着手するとともに、県と民間事業者の役割分担と連携強化のもと、入所者の円滑な移行に向けた準備を進めてまいります。
次に、安心して暮らせる社会についてであります。
地域の相互扶助機能が低下する中、安心して暮らせる社会づくりを推進するため、会員同士が金銭を介さず時間を交換単位としてサービスを提供し合う「時間銀行」の仕組を活用し、民間非営利団体による地域課題の解決に向けた取組を支援してまいります。
県総合計画に新たに導入した「いばらき幸福度指標」におきましては、「新しい安心安全」へのチャレンジが全国第39位と低迷し、なかでも、犯罪防止に関する指標が低スコアとなっております。このため、全国的にも犯罪率が高位となっている自動車盗や住宅侵入窃盗を抑止するため、自動車のナンバーを読み取る緊急配備支援システムの増設のほか、モデル地区における街頭防犯カメラの設置支援など、集中的な対策を講じてまいります。
また、昨年施行した「茨城県犯罪被害者等支援条例」及び「茨城県性暴力の根絶を目指す条例」の趣旨を踏まえ、犯罪被害に遭われた方やそのご家族・ご遺族を支援するため、24時間365日相談できる窓口の周知徹底を図るほか、二次的被害防止を含めた県民の理解促進や、県医師会などと連携した被害者への支援体制の強化などに取り組んでまいります。
次に、災害・危機に強い県づくりについてであります。
頻発化・激甚化する自然災害から県民の命と暮らしを守るためには、ハードとソフトの両面から災害に強い県づくりを進めていく必要があります。
そのため、令和元年東日本台風により甚大な被害が発生した那珂川・久慈川において、「緊急治水対策プロジェクト」を推進するとともに、利根川などの各水系において、国の「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」の予算を活用しながら、流域治水に取り組むなど、防災・減災対策をより一層加速してまいります。
また、洪水ハザード内における逃げ遅れによる人的被害ゼロを目指し、住民への避難訓練の実施に加え、マニュアルの作成により避難行動要支援者の支援体制の実効性を高めるなど、市町村との連携による地域防災力の充実・強化に取り組んでまいります。
高病原性鳥インフルエンザにつきましては、今年度、県内で6例発生し、自衛隊に加え、県内市町村や幅広い業界団体のご協力を得ながら、累計で400万羽以上の殺処分を行う事態となっております。
こうした中、大規模養鶏場における防疫体制の強化が喫緊の課題となっていること から、昨年12月に行った国に対する制度改正の要望に続き、今定例会では、大規模養鶏場の事業者に、新たな設備基準に基づく鶏舎の設置や人員・資材の確保などを求める、全国初の条例案を提出したところであります。引き続き、徹底した発生予防と 防疫体制の強化に万全を期してまいります。
第3は、新しい「人財」育成についてであります。
まず、魅力ある教育環境と文化・スポーツなどを楽しむ茨城についてであります。
本年4月、「県立高等学校改革プラン」に基づく県立高校の再編整備により、「つくばサイエンス高校」と、全国初のIT専科高校となる「IT未来高校」が開校いたします。開校を契機に、科学技術の進展やIT人材の不足といった社会の変化や地域のニーズに対応した、魅力と特色ある学校づくりを進めてまいります。
また、教科担任制の導入による授業の質的向上と教員の負担軽減を図るため、県内 全ての公立小学校において専科指導教員を配置できるよう、人材の確保にしっかりと取り組んでまいります。
部活動改革につきましては、長時間の活動による生徒のケガや燃え尽き症候群防止などを目的として、昨年12月に部活動運営方針を改訂し、活動時間の上限などを明確化したところでありますが、生徒のための持続可能な活動環境づくりや教員が本務に専念できる環境の確立に向けて、可能な限り早期に地域移行を実現する必要があります。
このため、今月16日、永岡文部科学大臣に対し、来年度から地域移行に向けた取組を開始する市町村が必要な財政支援を受けられるよう、国の予算措置を求める要望を行ったところであり、県といたしましても、地域クラブの指導者確保に向けた人材バンクの設置などを通じ、市町村を支援してまいります。
ジュニア世代に重点を置いた世界で活躍するトップアスリートの育成につきましては、大学やプロスポーツチームとも連携しながら、トップアスリートに必要な専門的な知識の習得や、優れた指導者による計画的・集中的な育成、強化に努めてまいります。
eスポーツにつきましては、来月2日に、イオンモール株式会社とeスポーツの振興に関する連携協定を締結する予定であり、今後、幅広い年齢層に向けたイベントの開催など、eスポーツの裾野を広げる取組を展開してまいります。
次に、日本一、子どもを産み育てやすい県についてであります。
安心して結婚や出産、子育てができるよう、きめ細かな支援体制の構築などの環境づくりが求められております。
そのため、「いばらき出会いサポートセンター」においては、女性の入会登録料無料キャンペーンを通年化するとともに、企業や市町村と連携したイベントの企画立案などを担う結婚支援コンシェルジュを配置し、キャンプやサイクリングなどの体験イベントを通じた新たな男女の出会いの場の創出に努めてまいります。
出産・子育て支援につきましては、市町村を通じ、伴走型相談支援と経済的支援を一体的に実施しているところであり、引き続き、市町村と連携し、安心して出産・子育てができる環境づくりに取り組んでまいります。
また、児童虐待に関する相談に、より幅広く対応するため、全国児童相談所虐待対応ダイヤル「189」に加え、今月1日から、SNSを活用した相談窓口を新たに開設し、若年層の方も気軽に相談できる体制を整備したところであり、引き続き、児童虐待の未然防止と早期発見・早期対応に努めてまいります。
次に、自分らしく輝ける社会についてであります。
一人ひとりが尊重され、誰もが個々の能力を発揮できる、いわゆる「ダイバーシテ ィ社会」の実現に向け、今月20日、熊谷千葉県知事ら有志の知事とともに、緊急共同声明を表明いたしました。今後とも、多様性を認め合う社会づくりの加速化を図るとともに、自治体間の連携を一層深め、国の取組をしっかりと後押ししてまいります。
一方、ダイバーシティ推進センターにおきましては、県内企業などの取組指標となる県独自の「ダイバーシティスコア」の作成や、若年層を中心にダイバーシティへの理解を深めるWebゲームの制作などを通じ、普及啓発を進めているところであります。引き続き、これらのコンテンツを最大限に活用し、全県的、全世代的なダイバーシティの推進を図ってまいります。
また、ケアラー・ヤングケアラー支援につきましては、現在、条例に基づき、推進計画の策定を進めており、パブリックコメントを通じて広く県民の意見も取り入れながら、今年度内に取りまとめてまいります。引き続き、学校現場において、ヤングケ アラー本人の気づきと相談を促す啓発に取り組むなど、ケアラー・ヤングケアラーの支援に積極的に取り組んでまいります。
第4は、新しい夢・希望についてであります。
まず、世界に飛躍する茨城についてであります。
本年12月に開催される「G7茨城水戸内務・安全担当大臣会合」につきましては、会合の成功と円滑な運営支援に万全を期すとともに、本県の歴史・文化や豊かな食材、美しい自然などの魅力を世界に発信する絶好の機会となることから、茨城の大いなる飛躍に向け、全力で取り組んでまいります。
県産品の海外展開につきましては、今月4日から8日にかけて、私自ら台湾を訪問し、過去最大規模の商談会や大見本市を開催するなど、盛況のうちに終えることができました。引き続き、徹底した差別化と高付加価値化、市場ニーズを踏まえた戦略的な営業活動に取り組むとともに、海外でのトップセールスを行うなど、世界の市場に積極的に県産品を売り込んでまいります。
世界に挑戦するベンチャー企業の創出につきましては、米国のベンチャー企業支援機関と連携した支援プログラムにより、海外展開を目指す6社が、ニューヨークやベルリンなどにおいて、海外投資家などに向けたプレゼンテーションを行い、資金調達やビジネスマッチングを図ったところであります。引き続き、新たな事業展開や投資の呼び込みなどを支援してまいります。
世界で活躍できる「人財」の育成につきましては、意欲ある生徒に対し、トップレベルの英語の学習機会を提供してきたところであり、今年度は、国際的な民間教育機関「ユナイテッド・ワールド・カレッジ」のドイツ校とオランダ校への進学者を輩出いたしました。引き続き、課題発見力や探究力、ディベート力の強化に取り組み、新しい時代を切り拓くグローバルリーダーの育成を図ってまいります。
国際観光・インバウンドにつきましては、本県の魅力と強みを活かした旅行商品の造成を促進するほか、SNSを活用したデジタルマーケティングなどを一層強化してまいります。特に台湾においては、今月7日に、台湾のサイクリングロード「旧草嶺 環状線自転車道」とつくば霞ヶ浦りんりんロードとの間で観光友好交流協定を締結したほか、来月26日から、タイガーエア台湾が約3年ぶりに茨城空港への台北便の運航再開を決定するとともに、来る4月9日から、新たに台湾南部の高雄を結ぶチャーター便を運航する予定となっておりますので、今後、様々な交流を促進してまいります。
このほか、茨城空港では、来月25日から翌4月6日にかけて、韓国のジンエアーがソウルを結ぶチャーター便を運航する予定となっており、また、茨城港では、約4年ぶりとなる外国クルーズ船が3隻寄港する予定となっております。こうした動きを追い風にしながら、積極的にインバウンド需要を取り込むとともに、交流人口の拡大につなげてまいります。
加えて、昨年、大洗町で開催した全国初のカジキ釣り国際大会につきましては、ひたちなか大洗地域の更なるブランド力向上を図るため、陸上でのイベントをひたちなか市にも広げるなど規模を拡大して開催いたします。
外資系企業の誘致につきましては、県内企業とのビジネスマッチング機会の提供や、インターナショナルスクールの誘致による外国人子女のための教育環境の整備のほか、地方進出の意欲が高いホテル事業者への営業活動などに取り組んでまいります。
外国人材が活躍できる環境の整備につきましては、特定技能2号の対象業種拡大な どの制度改正を国に強く要望していくほか、外国人材支援センターにおける県内事業者の受入体制の構築支援などを推進してまいります。
これらの取組により、激動の「非連続の時代」にあっても、茨城が世界に向けて大きく飛躍できるよう、私が先頭に立って挑戦を続けてまいります。
次に、魅力発信No.1プロジェクトについてであります。
本県の魅力発信の強化を図るため、コロナ禍で改めて注目が集まったアウトドア・コンテンツをはじめとした観光資源や、トップブランド化を目指す県産品などについて、特に民放キー局で取り上げられるよう、更なる話題化を目指す取組や集中的なパブリシティ活動を進めてまいります。併せて、拡散力の高いSNSやインターネット動画など様々な手法を活用し、戦略的かつ多角的にプロモーションを展開してまいります。
また、アンテナショップ「イバラキセンス」におきましては、インターネットで注文できる宅配なども活用し販路拡大を図るとともに、地元でしか食べられない人気の商品やメニューの紹介、訴求力のあるイベントの実施などにより、本県の魅力をしっかりとPRしてまいります。
次に、若者を惹きつけるまちづくりについてであります。
若者にとって魅力ある働く場の創出に向け、成長分野の本社機能移転などを実現してきたところでありますが、引き続き、新規立地企業を中心に、新卒者向け就職面接会や企業説明会への参加を個別に呼びかけるとともに、インターンシップ実施の支援などにより企業の採用力を高め、若者の県内就職を促進してまいります。
東京圏などの若手人材と、地域課題解決に意欲のある地元企業をマッチングする副業プロジェクトにつきましては、地域おこし協力隊制度を活用した「副業協力隊」が 複数年かけて本県に深くコミットする新たな取組により、更なる関係人口の創出を図ってまいります。
偕楽園の魅力向上につきましては、本年4月、偕楽園月池地区に県内初のパーク PFI制度により誘致したパークレストランの開業が予定されており、結婚式をはじめ、県内外のお客様をおもてなしする新たな交流拠点となるものと期待しているとこ ろであります。引き続き、民間事業者などと連携を図りながら、若者をはじめ、幅広い年齢層の方々に楽しんでいただけるよう、魅力づくりを推進してまいります。
次に、デジタルトランスフォーメーションの推進についてであります。
ビッグデータやAIなどのデジタル技術を活用した新たな行政サービスの創出を目指し、今年度、救急搬送時間の短縮や豪雨時の河川浸水エリアの予測など、県民の安心安全につながるシステムを構築し、その有効性を実証するプロジェクトに取り組ん でいるところであります。
引き続き、県政の様々な課題に対し、デジタル技術を活用した解決策を検討・実装するほか、デジタル技術に関する知見を持ち、県民や企業ニーズに即した施策を立案 ・推進することができる人材の育成を図ってまいります。
また、DXの推進に不可欠なマイナンバーカードの普及につきましては、市町村に対し出張受付の拡充を働きかけるとともに、交付率の低い市町村などを支援するため、県においても「出張申請サポート窓口」を開設しているところであり、引き続き、市町村と一体となって、マイナンバーカードの取得促進に取り組んでまいります。
次に、活力を生むインフラと住み続けたくなるまちについてであります。
つくばエクスプレスの県内延伸につきましては、県総合計画に位置付けた4方面案の絞り込みに向け、今年度、必要な調査を実施し、その結果を踏まえ、学識経験者などで構成する第三者委員会において、最善となる延伸方面をご検討いただいているところであります。今後、第三者委員会からの提言を踏まえ、パブリックコメントを実施し、延伸方面を決定してまいります。
広域交通ネットワークの中核となる県内の高速道路につきましては、東関道水戸線 の未開通区間である潮来インターチェンジから鉾田インターチェンジ間において、令和7年度から8年度の全線開通に向けた整備が進められております。また、圏央道の4車線化につきましては、今年度から順次開通する見込みであり、令和8年度までの 全線開通に向けて整備が進められております。引き続き、国などに対し、整備推進を強く働きかけ、県内高速道路ネットワークの充実と利便性向上を図ってまいります。
港湾事業につきましては、茨城港、鹿島港において、岸壁や防波堤の整備など港湾の機能強化を進めるとともに、茨城の港の優位性をPRし、取扱貨物量の増加や新規航路の開設につなげてまいります。また、カーボンニュートラルポートの形成に向け、 関連企業の取組や投資の状況、港湾へのニーズを的確に捉え、次世代エネルギーの受入れなど、港湾地域の脱炭素化に取り組んでまいります。
次に、県北地域の振興についてであります。
県北地域におきましては、県北地域に特化した「起業型地域おこし協力隊」を20名まで増員するとともに、意欲ある中小企業の新たなビジネスプランの磨き上げなどを通じ、付加価値の高い事業の創出を支援してまいりました。引き続き、隊員の増強を図るとともに、地域課題の解決に向けた新たな視点の起業が円滑に進むよう、隊員の活動を一層PRしてまいります。
また、「茨城県北ロングトレイル」につきましては、今年度、常陸太田市から日立市を経由し、高萩市に至るルートの整備に取り組んでおり、開通済の区間と合わせ、関東地方では最長となる約105キロメートルのコースとなる予定であります。引き続き、ルート整備を進めるとともに、デスティネーションキャンペーンとタイアップし、来訪者の滞在時間の拡大と消費喚起を促進してまいります。
さらに、県北地域の重要な交通インフラである水郡線につきましては、沿線市町や 事業者、学校と連携を図りながら、キャンペーンやイベントを実施するなど、これまでの取組を拡充し、通勤・通学や観光での利用促進に取り組んでまいります。 引き続き、県北振興チャレンジプランに掲げる取組を部局横断的に推進し、県北地域がゆとりと潤いのある「活力があり、持続可能な地域」となることを目指してまいります。
次に、条例その他について申し上げます。
条例は、新たに制定するもの1件、改正するもの16件、合わせて17件であります。
新たに制定する条例は、先に申し上げました「茨城県鳥インフルエンザの発生の予防及びまん延の防止に関する条例」であり、一部改正を行うものは、「茨城県資金積立基金条例の一部を改正する条例」などであります。
条例以外の議案といたしましては2件で、「包括外部監査契約の締結について」などであります。
以上で、説明を終わりますが、なお詳細につきましては、議案書などによりご審議の上、適切なご議決を賜りますようお願い申し上げます。
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