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更新日:2017年7月24日
「都道府県展望」8月号に掲載された、茨城県知事のインタビュー記事です。
茨城県民は、自己表現・自己宣伝が下手というか、あまりでしゃばることを得意としない。そのせいか、人口約300万人、農業産出額全国第3位、製造品出荷額全国第9位とバランスの取れたすばらしい県であるにもかかわらず、印象が薄く、特に関西以西の方には、時として、東北地方の県と間違われる。黄門様や納豆の水戸、アントラーズの鹿島などは有名であるが、「茨城」というとなぜか知名度はぐっと下がる。
我々もイメージアップに努めているところであるが、一朝一夕に行かないことはもちろんであり、大変歯がゆい思いをしている。
しかし、今、その茨城のイメージが徐々にではあるが、変わり始めている。
その一つの要因は、つくばエクスプレスの開業と、沿線のまちづくりである。都心から茨城へのアクセスは格段に便利になり、東京に一番近い「守谷駅」と「秋葉原駅」間はわずか32分、秋葉原から山手線で新宿に行くのと同じ所要時間になった。また、「つくば駅」と「秋葉原駅」を45分で結ぶ地下鉄タイプの通勤電車が開業したということだけでなく、毎日、秋葉原駅を始めとする都心の駅や山手線の車内などで、つくばエクスプレスの名前が放送されていることは、つくば、更には、茨城のイメージを変えるのに大きく貢献している。
先日、関東知事会を本県で開催した際にも、各都県の知事につくばを視察していただいたが、駅周辺の広大な土地で進む建築ラッシュや産業技術総合研究所のロボット技術など大きく変貌しつつあるつくばの姿は、大変印象深かったようである。未来型の都市として、全国の知事さん方にも、ぜひ一度ご覧いただければと願っている。
我々は、つくばエクスプレス沿線地域の暮らし方として、「充実した都市機能」、「豊かな自然」、「知的な環境」を享受しながら、自分の希望に合わせて、住み・働き・学び・遊ぶことができる「つくばスタイル」を提唱し、PRに努めているところである。お陰さまで、つくばエクスプレスの乗車人員は予想を大幅に上回る一日24万人近くになり、我々としては、近い将来東京駅への延伸をぜひ実現したいと考えている。
一方、JR常磐線についても、数年後には、東京駅乗り入れが予定されており、つくばエクスプレスと相まって、都市近郊型の通勤電車として、茨城県のイメージアップに大きく寄与してくれるものと期待している。
一方、本県では、北関東自動車道、圏央道、常陸那珂港といった高速道路や港湾の整備、茨城空港の開港など、陸・海・空の広域交通ネットワークづくりやIT社会に対応した情報空間づくりなどが着実に進展してきている。その結果、企業の本県に対する注目度も高くなり、工場立地も順調である。
例えば、平成18年には、工場立地面積は187ヘクタールと断トツの全国第1位となり、県外企業の立地件数も、昨年に続き全国第1位となっている。
平成18年までの10年間でみても、茨城県の工場の立地面積は1,068ヘクタールと第2位の群馬県の736ヘクタールを大きく引き離している。最近は、優良大企業の立地が相次いでおり、今年の1月には建設機械メーカー・コマツが、また6月には、国内最大手の製材メーカー、中国木材がそれぞれ操業を開始した。さらに、この9月には同じく建設機械メーカーの日立建機、年内には世界一の産業用ロボットメーカーのファナックが操業を開始する予定である。
先日の朝日新聞に「企業誘致へ補助高騰」との見出しが躍っていたが、本県では、この種の補助金は設けていないが、企業の立地に伴い増加する税収については、市町村の協力も得ながら、全て課税免除することとしている。企業から上がる税収に関係なしに、厳しい一般財源の中から儲かっている企業に補助することはしないが、もともと企業の立地がなければ得られなかった税収については企業にお返ししましょうという発想である。私は、企業が立地を決定するにあたって、最も重視するのは補助金などではなく企業環境であると考えている。そのため、企業が最も活動しやすいような環境を提供するために、着々とインフラの整備を進めてきた。茨城県の工場立地面積全国第1位という結果は、こうした基盤整備が進み、立地条件が良くなったことが多くの企業に理解された結果ではないかと喜んでいる。
茨城県は昔から「常世の国」と言われた地域である。今は財政状況が厳しく、職員に給与カットをお願いしている状況にあるが、私は、茨城は、恵まれた条件を生かせば人口減少時代にあっても、必ずや活力を維持していけると信じている。
「茨城ってどこにあるの。」と言われないよう、「人が輝く元気で住みよい」茨城県づくりに励んでいるところである。
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