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林業の地域別動向と展開方向に関する研究
研究報告No.12(要旨)
この研究は、林業の地域特性をふまえ、今後、どのように地域別に、林業振興を図っていけばよいか、そのための基礎資料と考え方について提示したものである。
1.茨城県林業、とくに民有林林業をとらえると、農業経営および農家生活との係わりのなかで、林業ないし林野利用が展開、維持されてきた。この基調は、基本的には戦後も変わっていない。
しかし、都市化、工業化が進展するに伴い、本県農業は変質し、それにつれ林業から農民が離れてしまった。また、林地に係わる新しい問題として土地転用、環境問題が起こってきた。これからの本県林業の方向は、農民を基軸に据えた新しい農家複合経営を確立するところにあろう。
2.林業生産活動を木材生産機能、林業労働力定住機能、木材加工集積機能に分類し、どの機能が優れているかによって市町村の林業類型化を行い、この類型に基づいて林業地域区分を行った。その結果、木材加工集積都市を核とした4つの林業地域を画定した。また、区分された地域ごとに、シェア、ウェイト、レベル、テンポ、バランスの林業特性分析を行った。
3.県内山村集落の過疎化段階区分を行った。区分の方法は、人口論的過疎と地域論的過疎に分けて行った。その結果、本県の山村集落は、人口過疎は進んでいるが、それによって地域の経済構造が崩壊する地域過疎の進度は微弱である。
4.県内で林業生産が最も進んでいる大子町をとらえて、メッシュ方式による集落および森林の特性分類を行った。メッシュの大きさは500×500mである。特性の解析はメッシュ単位に選び出された特性指標を主成分分析法(PCA)で評価分類することにより求めた。その結果、大子町の集落については、農林業経営盤度、集落規模度に応じて6タイプに類型化された。また森林については、森林資源規模度、森林資源成熟度に応じて8タイプに類型化された。類型化された集落および森林のそれぞれのタイプを多角形図を用いてその特質の比較検討を行った。
さらに、農業集落ごとに、林業経営基盤、林業労働力基盤を視点に、地域農家の林業生産活動の投入度を比較検討した。
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