シイタケ生産は,山村から都市近郊農村にいたるまで,ひろく農家のとりあげるところとなった。
商品化の進展とともに,シイタケ生産は農家に定着し,いまや農家にとっては,選択対象となる営農類型の一つとして考えられている。
本研究は,このような生産農家のなかで,シイタケ生産が経済的,技術的にどんな構造をもって展開しているのか,そして,経営合理化のために,どのように経営管理をおこなえばよいか,こういった点を具体的にあきらかにする目的で,まず事例農家の現状分析にとりかかった。
1.生産農家の現状分析
シイタケ生産が農家にくみいれられている態様,ここでは,専業型と複合型に区分し,それぞれ該当農家をえらび調査した。
(1)専業型生産農家(O家)
シイタケ生産が主要部門として農家経済内に位置しており,農家所得の過半をシイタケ生産所得に依存している。しからば,シイタケが主要部門として農家経済内でいかに機能し,他の経営作目とどんな適応性をもっているか,農家経済分析によって検討した。
また,当家で採用しているシイタケ周年生産の技術機造,とりわけ,夏秋出しと冬春出しの両栽培方式の比較検討,およびシイタケ生産の収益性,それに関連して市場出荷など個別農家におけるマーケティングの分析をした。
(2)複合型生産農家(S.H家)
ともに,基幹部門として稲作をもち,これにシイタケをふくむ複数部門を結合している農家で,シイタケ生産は冬期のフレーム栽培に重きをおいた農閑期利用型である。
したがって,シイタケ生産を合理的に経営するには,他作目との比較有利,生産要素の利用調整の検討が必要である。しかるのち,生産規模,その集約度,生産手段の調達,とりいれるべき生産技術などが決定する。労働力の利用適正と投下資本の効率化をはかることが,複合部門としてシイタケ生産を経営内に定着させる要件となる。
2.シイタケ農家の経営管理技術
農業経営を近代化するには,適正な経営管理が必要なことはいうまでもない。そこで,まず農家全体の経営管理の考え方とその手順を「経営管理体系図」にしめした。これと有機的に結合するシイタケ生産部門の経営管理を,生産過程,管理点検項目ととに,管理指標を設定し,この目標にてらし各段階の経営活動を統制する「目標管理」の体系をしめした。
|