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林内を利用した薬用植物の栽培に関する研究
研究報告No.18-2(要旨)
この研究は、従来未利用であった林内の有効利用法として、薬用植物を林内で栽培する場合の栽培技術の開発を目的として実施したものである。対象とした薬用植物は、オウレンとイカリソウの2種類で、それらの生育環境の調査や、栽培条件を変えた場合の生育を調査した。
オウレンは、自生地の環境調査等から適潤で肥沃な庇陰地を好むことが明らかになり、林内での栽培が可能であると考えた。また、林内での除草や施肥の方法を変えた試験の結果、除草の有無による生長の差は少なく、施肥方法の違いによる生長の差は大きかった。特に、基肥と追肥を行った区で、生葉数や草丈が、掘り取り調査では各部位の乾重量が、他の区より大きかった。除草の有無によって生長に差がないことは、移植後2年間と調査期間の短かいためとの懸念もあるが、林内では、除草を簡略化し、粗放な栽培も可能であることを示している。施肥は、短期間の試験にもかかわらず、大きな効果を示し、栽培期間の短縮や収量の増加に有効であることが確認された。
イカリソウは、栽培事例が少なく、林内での栽培の可能性は未知であった。しかし、自生地の環境調査等から庇陰地を好むことが明らかになり林内での栽培は可能であると判断された。そのため、林内で、地拵えと施肥の方法を変えた栽培試験を行った。地拵え方法の違いによって生長に差は認められなかったが、施肥方法の違いによって生長に大きな差が認められた。施肥区では、草丈に大きな差がないものの、茎数と各部位の乾重量が、無施肥区より大きい値を示し、施肥が収量の増加に十分有効であることが明らかとなった。以上の結果、本研究では、オウレンとイカリソウの林内栽培が十分可能であることを実証できたほか、両種の栽培技術確立のため新たな知見を得ることができた。
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