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更新日:2022年10月31日
令和4年第4回定例会の開会に当たり、提出いたしました議案等の説明と報告を申し上げます。
はじめに、新型コロナウイルス感染症により、亡くなられた方々のご冥福を謹んでお祈り申し上げますとともに、罹患された皆様に心よりお見舞い申し上げます。
まず、新型コロナウイルス感染症対策についてであります。
国内では、8月下旬をピークに新規陽性者数の減少傾向が続いておりましたが、今月中旬以降は全国的に下げ止まりの状況にあり、一部の地域では増加に転じてきております。
本県におきましても、新規陽性者数が下げ止まりの様相を呈していることから、今後の推移を注視してまいります。
オミクロン株BA.5などが猛威を振るい、かつてない新規陽性者数となった今回の第7波では、重症化率が季節性インフルエンザとほぼ同水準にまで低下し、新規陽性者数の大半は入院を必要としない状況となりました。
私は、このように、感染力が強い一方で重症化しにくい変異株の流行が続く状況下にあっては、新型コロナウイルスを「未知のウイルス」として恐れる段階から速やかに脱却し、ウィズコロナを見据え、メリハリの利いた感染対策を講じながら社会経済活動の正常化を図っていく必要があると考え、第7波の収束が見通せた先月29日、県の対策指針「茨城版コロナNext」を改定したところであります。
「判断指標」につきましては、県民の皆様への注意喚起や対策の判断に引き続き活用するため、第7波の入院率等の実態を踏まえた指標に見直すとともに、「対策指針」につきましては、外出自粛や営業時間短縮といった行動制限の要請は原則として行わない方針としたため、廃止いたしました。
今後、重症化しやすい変異株などが出現し、入院病床がひっ迫した場合には、行動制限の要請も検討するなど、適時適切に必要な対策を講じてまいります。
また、冬場には、季節性インフルエンザとの同時流行が懸念されることから、引き続き、県医師会と連携し、入院病床の確保に加え、発熱外来の新規開拓や診察時間の延長など、医療提供体制の強化に平時からしっかりと取り組んでまいります。
さらに、誰もが感染し得る新型コロナウイルスへの備えには、基本的な感染対策の徹底に加え、感染予防や重症化予防に有効なワクチン接種の推進が重要であることから、希望される方へのオミクロン株対応ワクチンの接種が年内に終えられるよう、市町村による接種を支援するとともに、明日11月1日から12月25日にかけて、県の大規模接種会場を再開いたします。
今後とも、県民の命と健康、そして暮らしを守るため、感染拡大防止と社会経済活動の本格化に向け、全力で取り組んでまいります。
次に、経済対策等への対応についてであります。
政府は、世界的な物価高騰の中で、国民生活と事業活動を守るため、先月20日、予備費約3兆5千億円を活用し、輸入小麦の価格抑制や燃料油価格の激変緩和などの食料品・エネルギー価格高騰対策に加え、地方の実情に応じた生活者・事業者支援を目的とした新たな交付金の創設、低所得世帯への給付金の支給などを行う追加対応を決定いたしました。
県といたしましても、こうした国の動きに合わせるとともに、コロナ禍からの回復や価格転嫁の遅れなどにより、県内で多くの事業者が苦境に立たされ、倒産件数が4か月連続で増加している現下の厳しい状況等を踏まえ、スピード感を持って対応することといたしました。
具体的には、経営環境が特に悪化している事業者への応援金の給付や、中小企業支援のための融資枠の拡大、省エネ化に取り組む土地改良区への電気料金の助成のほか、新型コロナウイルス感染症対策など、国の対応に関連する事業や本県独自の対策として早急に実施すべき事業を内容とする補正予算を編成し、今回提出させていただいたところであります。
さらに、政府におきましては、今月28日、世界経済の減速リスクや物価高騰などの経済情勢の変化に切れ目なく対応し、「新しい資本主義」の加速により日本経済を再生するため、物価高騰・賃上げへの取組、円安を活かした地域の「稼ぐ力」の回復・強化などを柱に、家庭電気料金の2割程度抑制等の光熱費支援など事業規模約72兆円の新たな総合経済対策を取りまとめるとともに、今後、補正予算を編成し、臨時国会に提出する予定としております。
県といたしましては、引き続き、国の補正予算の動向等を見極めながら、適切に対応してまいりたいと考えております。
次に、在南米県人会60周年記念式典への出席等についてであります。
今月8日から17日までの10日間、ブラジル及びアルゼンチンを訪問し、両国の茨城県人会創立60周年記念式典に出席してまいりました。
県人会主催の記念事業に私自らが出席したことに対しまして、現地の方々から多くの感激の言葉をいただいたところであります。
日本語を話せない世代の方々が多くなり、ふるさと「茨城」という意識も薄れてきている中、このような機会を通じて、茨城県人としての意識を高め結束を図ることは、大変意義があることと考えており、引き続き、在南米県人会を通じた交流に努めてまいります。
また、この度の訪問に合わせ、両国における県産品のPRや経由地カナダでの常陸牛の販路拡大に向けたトップセールス等を展開してまいりました。
特に、ブラジル・サンパウロ市内で実施したPRイベントでは、県産品を使用したメニューの試食や日本酒の試飲などを行い、現地で日本食を取り扱う輸入業者をはじめ、多くの方に好評をいただいたところであります。
今後とも、現地の消費者ニーズや需要の動向を的確に捉えながら、県産品の新たな販路開拓に取り組んでまいります。
次に、企業立地の推進についてであります。
県施行の工業団地「圏央道インターパークつくばみらい」におきましては、今月13日に立地企業選考委員会を開催した上で、立地企業5社を決定いたしました。
まず、即席麺のパイオニアである日清食品株式会社につきましては、「フラッグシップ拠点」となる国内最大規模の生産能力を有する新たな製造工場の建設や、最先端のフードテクノロジーの研究・開発拠点の建設などを予定しております。
また、農業用機械の製造・販売でグローバルに事業を展開する株式会社クボタのほか、超精密部品製造会社や先端印刷技術等を活用したパッケージ製造販売会社など、優良企業の立地が決定したところであり、今後、大規模な設備投資や雇用創出につながるものとして大いに期待しております。
引き続き、旺盛な企業の立地ニーズに応えられるよう、スピード感を持って、坂東市山地区における開発を進めるとともに、本県経済への大きな波及効果が期待できる企業の立地を目指し、戦略的な誘致活動を展開してまいります。
次に、医師確保に向けた取組についてであります。
最優先で医師確保に取り組む医療機関・診療科につきましては、第2次目標に選定した小山記念病院の循環器内科における必要医師の確保に向け、私自ら昭和大学の理事長等との交渉を行ってきた結果、来年4月から同大学に新たな寄附講座を開設することが決定し、常勤医師2名の派遣を受けることとなりました。
これにより、目標の4医療機関の合計7.5名に対し、現時点で6.2名を確保したところであります。
また、臨床研修医の確保を図るため、指導医の養成や著名な医師による県内病院の巡回指導など、若手医師の指導体制を充実させるとともに、県内20の臨床研修病院が一体となったPR活動を行ってきた結果、来年度の本県内における臨床研修医採用数は、過去最多の187名の見込みとなりました。
今後とも、最優先の医療機関・診療科において年度内に目標を達成できるよう、私が先頭に立って県外大学等への働きかけを行ってまいりますとともに、県内医療機関における教育環境の充実や魅力の発信等により、全国から広く人材を呼び込むなど、本県の医師不足の解消に向け、全力で取り組んでまいります。
次に、本県への観光需要の取り込みについてであります。
観光需要喚起策として、本年4月から関東近県を対象に実施してきた「いば旅あんしん割事業」につきましては、今月11日に「全国旅行支援」に移行したところでありますが、予約受付開始以降、県内の宿泊施設から大変盛況との情報が寄せられており、これまで以上に多くの利用があるものと期待しております。
また、歴史的な円安に加え、今月11日から査証免除措置の適用再開や個人旅行の解禁など、水際対策が大幅に緩和されたことにより、今後、本県を訪れる外国人観光客の増加が見込まれるところであります。
県といたしましては、この機を逃さず誘客を図れるよう、来県需要が見込める台湾、タイを中心に旅行会社やインフルエンサーの招請、SNSやメディアを活用したデジタルマーケティング等の誘客プロモーションを強化するなど、国内はもとより海外からの観光需要の取り込みに向け、しっかりと取り組んでまいります。
次に、デスティネーションキャンペーンの開催についてであります。
令和5年秋の「茨城デスティネーションキャンペーン」に先立ち、今月1日から、プレキャンペーンを開始いたしました。
キャンペーン初日には、JR水戸駅において、サイクルトレインで到着した「体験王国いばらき」の女王、デヴィ・スカルノ氏を特別ゲストに迎え、オープニングセレモニーを盛大に開催したところであります。
12月までのキャンペーン期間中、「アウトドア」「食」「新たな旅のスタイル」をテーマに、県内各地で様々な企画が催されますが、例えば、いばらきフラワーパークでは、秋バラライトアップや県産食材を使ったコース料理を堪能する特別滞在プランに定員を超える応募があり、参加された方からも大変好評をいただいております。
また、キャンペーンに合わせ、明日11月1日には、新たな観光拠点として、「いばらき地酒バー水戸」をJR水戸駅みどりの窓口隣に移転し、提供銘柄数を大幅に増やすほか、小売販売を始めるなどサービスを充実させ、リニューアルオープンいたします。
加えて、9日には、全国の旅行業者を対象に、「全国宣伝販売促進会議」の開催を予定しており、本県の魅力をしっかりとアピールすることで旅行商品の造成を働きかけるとともに、JRの広報媒体を活用した広域宣伝をはじめ、本県ゆかりのインフルエンサーとタイアップした動画配信などのWEBプロモーションに取り組んでまいります。
今後とも、デスティネーションキャンペーンを契機として、本県への誘客や観光消費の拡大を図り、「稼げる観光地域づくり」を実現してまいります。
次に、第46回全国育樹祭に向けた取組についてであります。
令和5年秋に本県で開催する全国育樹祭では、皇族殿下のご臨席を仰ぎ、「誰かじゃない 僕が育てる 緑の日本」をテーマに、潮来市の茨城県水郷県民の森において、平成17年の全国植樹祭で上皇陛下がお手植えされた樹木の枝打ち等のお手入れ行事を行うとともに、水戸市において、育樹活動等を紹介する式典行事を開催いたします。
全国育樹祭は、多くの県民の方々に森林や林業について考えていただく絶好の機会となることから、来月23日に那珂市で開催される「グリーンフェスティバル2022」や、来る12月1日に常陸太田市で建築家の隈研吾氏を招き開催する「国民参加の森林づくりシンポジウム」などのプレイベントを通じて、機運の醸成を図ってまいります。
今後とも、全国育樹祭の開催に万全を期すとともに、林業関係団体、市町村等と連携した啓発活動など、更なる情報発信に取り組んでまいります。
次に、農産物のブランド力強化と水産業の成長産業化についてであります。
県産農産物のブランド力強化につきましては、常陸牛、豚肉の「常陸の輝き」、梨の「恵水」、栗、メロンの「イバラキング」の5品目に重点化し、話題性のある取組と高価格での販売に取り組んでいるところであります。
梨の「恵水」では、大相撲の元横綱・稀勢の里、二所ノ関親方に応援団長に就任いただき、県と産地が一丸となって、1万果に1個と言われる希少な「幻の恵水」の栽培に挑戦するプロジェクトを展開いたしました。
その結果、高級果実専門店で、1個10,800円という過去最高価格での販売につながり、各種メディアでも取り上げられるなど話題となったところであります。
「栗」では、明日11月1日から7日まで、都内商業施設において、日本一の栗産地である笠間市内の店舗を中心に県内菓子店が出店し、各店自慢のモンブランなどの栗スイーツを販売するフェアを開催するほか、イバラキセンスにおいても、本場笠間の「生しぼりモンブラン」を期間限定で特別提供するなど、茨城の栗のブランド確立に向け、引き続き、積極的なPRを展開してまいります。
また、本県水産業の成長産業化につきましては、昨年度から、マサバやブドウエビの養殖技術の開発に取り組んでいるところでありますが、来月から、那珂湊漁港に設置した養殖用いけすにおいて、ICTを活用したマサバの養殖実証事業を開始いたします。
この実証事業の成果により、本県海面養殖の新たな可能性を拓くとともに、引き続き、市場において高い収益性と商品性が見込まれる魚種の養殖技術の確立に取り組み、本県水産業の一層の振興につなげてまいります。
次に、ケアラー・ヤングケアラーの支援についてであります。
ケアラー・ヤングケアラーにつきましては、条例の趣旨を踏まえ、ケアラーの現状や支援ニーズなどを把握するため、本年4月から7月にかけて、県内の児童・生徒や学校・関係団体などを対象に実態調査を実施したところであり、取りまとめ結果について、来月中に公表したいと考えております。
併せて、実態調査の結果などを踏まえ、ケアラーの支援に関する施策を総合的に推進するための県推進計画案を取りまとめているところであり、今後、パブリックコメントを通じ、広く県民の意見も取り入れながら、策定を進めてまいります。
また、今月27日に、ヤングケアラー支援に関する連携協定を認定NPO法人カタリバと締結したところであり、今後、ヤングケアラーとその保護者をメンターがオンラインで伴走支援する新たなプロジェクトに取り組むなど、民間支援団体とも連携し、相談支援体制の充実を図ってまいります。
引き続き、県民誰もが生きやすい社会の実現に向け、ケアラー・ヤングケアラーの支援に積極的に取り組んでまいります。
次に、県北地域の振興についてであります。
県北地域の情報発信を強化するため、県と県北6市町が連携し、地域の魅力的な資源をドラマ仕立てのWEB動画で配信する取組を行っておりますが、今年度は、「アウトドア」をテーマとした青春ドラマ「県北高校焚き火部の野望」を制作し、先月30日から、いばキラTVで配信を開始いたしました。
また、全長320キロメートルに及ぶコースの整備を進める「県北ロングトレイル」につきましては、今年度新たに、常陸太田市から日立市の高鈴山を経由し、高萩市の花貫渓谷に至る約52キロメートルの整備を完了する予定であり、この区間の開通により、既に開通している大子町の袋田の滝や常陸太田市の竜神大吊橋などを経由する約53キロメートルのコースと合わせ、整備区間が100キロメートルを超え、全国有数の距離を誇るコースとなります。
今後とも、こうした取組により、県北地域の魅力を高め、知名度を向上させながら誘客を促進するなど、市町とも連携し県北地域の振興を図ってまいります。
次に、提出議案等についてご説明申し上げます。
今回の提出議案は、予算の補正に関するもの1件、条例その他21件、報告1件であります。
まず、一般会計の補正予算についてであります。
今回の補正予算につきましては、先に申し上げましたとおり、国の予備費活用への対応のほか、新型コロナウイルス感染症の拡大防止や県政の課題等へ対応するために必要な事業について、予算措置を講じることといたしました。
この結果、今回の一般会計補正予算の総額は158億79百万円となり、補正後の一般会計予算総額は、1兆3,210億62百万円となります。
次に、歳出の主なものについて申し上げます。
事業継続臨時応援金 17億80百万円
中小企業融資資金貸付金 100億円
土地改良区省エネルギー化促進事業 3億46百万円
感染症予防医療法施行事業 31億22百万円
産科医療機関院内感染防止対策事業 1億32百万円
などであります。
財源としましては、国庫支出金等を活用いたしますとともに、所要の一般財源8億92百万円につきましては、令和3年度からの繰越金を充当することといたしました。
また、債務負担行為は、一般会計の12件であり、主なものとしましては、公の施設の管理運営に関するものであります。
条例は、「個人情報の保護に関する法律等の一部改正に伴う関係条例の整備に関する条例」など、改正するもの6件であります。
条例以外の議案としては15件で、「指定管理者の指定について」などであり、報告は、専決処分の報告であります。
以上で、提出議案等の説明を終わりますが、なお詳細につきましては、議案書等によりご審議の上、適切なご議決を賜りますようお願い申し上げます。
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