ここから本文です。
更新日:2024年6月4日
令和6年第2回定例会の開会に当たり、提出いたしました議案等の説明と報告を申し上げます。
はじめに、去る4月3日に台湾東部において発生した地震により、亡くなられた方々のご冥福を謹んでお祈り申し上げますとともに、被害を受けられた皆様にお見舞いを申し上げます。県といたしましては、近年、様々な分野で交流を深めてきた台湾の方々にお役立ていただくため、いち早く災害見舞金を贈呈したところであり、被災地が一日も早く復興し、被災された皆様が平穏な生活を取り戻されることを心から願っております。
次に、災害への対応能力の向上についてであります。
昨年の相次ぐ豪雨災害に加え、令和6年能登半島地震や台湾東部地震など、自然災害が頻発化・激甚化する中、私は、過去の災害を教訓とし、先手先手で防災・減災対策を進めることが何より重要であると考えております。
能登半島地震においては、多くの古い木造住宅の倒壊被害が発生したことから、県では、発災直後から、住宅の耐震化の重要性について、市町村と連携し、広く周知を図ってまいりましたが、これまでに耐震診断などへの問い合わせを数多くいただいていることを踏まえ、耐震診断に必要な経費を追加で支援することとし、今回提出した補正予算案に関係経費を計上いたしました。
また、令和5年台風第13号において甚大な浸水被害が発生した日立市、高萩市及び北茨城市を流れる中小河川については、河道掘削など従来からの河川整備の手法に加え、調節池の整備などにより、一時的に雨水を「貯める」対策に計画的かつ集中的に取り組むことといたしました。
併せて、市町村が浸水リスクや避難方法などを周知するハザードマップなどを速やかに作成できるよう、今年度中に全ての県管理河川において、浸水の想定される範囲や水深を示す「洪水浸水想定区域図」の作成を完了させるとともに、本年は、本格的な台風シーズン到来前の7月までに、市町村との緊密な連携のもと、洪水ハザード内の全ての住民の方を対象とした避難訓練を実施するなど、ハードとソフトの両面から防災・減災対策を進めてまいります。
さらに、災害発生時においても、継続的に機能を維持することが求められる医療機関や社会福祉施設などについて、安定的な電力の確保を図るため、再生可能エネルギーの導入のための設備整備に対する支援を行うこととし、今回提出した補正予算案に関係経費を計上いたしました。
一方、県ではこれまで、大規模災害により一定の農業被害などが発生した場合、茨城県農林漁業災害対策特別措置条例を適用し、被災農業者などの復旧への取組を支援してまいりましたが、局地的な災害などにも柔軟に対応できるよう、条例の適用要件の見直しを図るため、今定例会に改正条例案を提出したところであります。
県といたしましては、こうした取組を通じ、防災・減災対策をより一層加速し、災害への対応能力の向上を図ってまいります。
次に、企業立地の推進についてであります。
急激に進む人口減少時代にあっても、本県が豊かで経済力のある社会を構築できるよう、私は、知事就任以来、企業誘致に特に力を入れて取り組んでまいりました。
その結果、工場立地動向調査において、過去5年間の工場立地面積は累計で609ヘクタール、県外企業立地件数は累計で180社にのぼり、それぞれ全国第2位の391ヘクタール、86件を大きく引き離して第1位となるなど、全国に誇る実績を積み重ねております。
また、昨年の首都圏から本県への本社機能移転企業数は、民間会社の調査によりますと、大阪府に次ぐ全国第2位の37社と、全国トップクラスの実績となりました。
こうした成果は、私が知事就任当初から、工業団地の分譲価格の見直しや全国トップレベルの補助制度の創設など戦略的な企業誘致に取り組んできたほか、産業用地の確保に向けた県施行の工業団地開発などの取組が実を結んだものであります。
私といたしましては、引き続き、若者が望む魅力的な雇用の創出に向けて、半導体や次世代自動車関連などの成長産業をはじめ、給与水準や利益率の高い、高付加価値な産業への戦略的な誘致活動を展開するとともに、県施行の工業団地「フロンティアパーク坂東」や常陸那珂工業団地の拡張地区のスピード感のある整備など、企業の立地ニーズに応じた産業用地の確保に取り組み、1社でも多くの優良企業の立地を実現してまいります。
次に、最低賃金の引上げについてであります。
人手不足が社会問題として顕在化する中、本県産業の競争力を支える人材を国内外から惹きつけ、更には、非正規雇用者などの生活を守るためには、私は、最低賃金の引上げが何より重要な政策課題であると認識しております。
本県は、2020年度の県民経済計算で就業者一人当たりの付加価値額が全国第2位、経済実態を示す総合指数が全国第9位であるにもかかわらず、最低賃金額は全国第15位にとどまり、全国上位にある本県の経済実態を正確に反映しているとは到底言い難い状況にあります。
私は知事就任以来、茨城労働局など関係機関に対し、あらゆる機会を捉え、最低賃金の引上げを要請してまいりましたほか、先月10日には「県・労働団体・経済団体の三者による意見交換」を実施し、直接、関係者の皆様に引上げの必要性を強く訴えかけたところであります。
また、昨日、私自ら、厚生労働副大臣に対し、地方がより自主的に最低賃金を決定できる仕組みの導入や、引上げにより影響を受ける中小企業に対する支援の強化などについて要請するとともに、今回提出した補正予算案において、事業場内の最低賃金を一定額以上に引き上げた企業の生産性向上を支援するための経費を計上したところであります。
今後とも、私が先頭に立ち、関係機関に対する働きかけを一層強化するとともに、企業の生産性向上に向けた取組をしっかりと後押しし、最低賃金の引上げに向けて全力で取り組んでまいります。
次に、運送業における2024年問題への対応についてであります。
生産年齢人口の急激な減少による労働力不足に加え、本年4月から運転業務などの時間外労働の上限規制が強化されたことに伴い、運転手不足が深刻化し、いわゆる「2024年問題」として、貨物などの輸送力の低下やバス路線の更なる減便などが懸念されております。
こうした課題に対応するためには、適正な価格転嫁と賃金水準の向上を通じた人材の確保とともに、業務の効率化を図ることにより、労働条件を改善しながら、人的資源を最大限に活かすことが重要であるため、新たに、DXの活用などにより、荷待ち時間の削減や荷役作業の効率化などに取り組む貨物運送事業者や、運転業務以外の事務作業の効率化などに取り組む乗合バス事業者を支援することとし、今回提出した補正予算案に関係経費を計上いたしました。
今後とも、県内事業者の業務効率化に向けた取組をしっかりと後押しし、地域経済を支える重要な社会インフラである物流や公共交通の維持を図ってまいります。
次に、外国人材の活躍促進についてであります。
深刻な人手不足が社会問題となる中で、本県産業を支える優秀な外国人材の確保は喫緊の課題であることから、外国人材から選ばれる県を目指し、人材の確保・育成から生活・教育環境の整備に至るまで、あらゆる施策を推進しているところであります。
まず、国際的な人材獲得競争が激しくなる中、高度外国人材の更なる獲得を図るため、インド有数の総合大学と「人材の送出し・受入れに関する協力覚書」の締結に向けた準備を進めております。加えて、介護人材の確保・育成に向けて、先月29日に、インドの日本語学校2校と「人材の育成・送出し・受入れ促進に関する協力覚書」を締結したところであり、今後、来日する留学生の養成と県内への定着にしっかりと取り組んでまいります。
また、外国人の方々が安心して暮らし、学ぶことができる環境を整備するため、外国人からの生活の困りごと相談などに母語で対応する「IBARAKIネイティブコミュニケーションサポーター」の増員を図るなど、相談・支援体制を強化しているほか、本年4月から、外国人児童生徒が多い小中学校のモデル校4校に、日本語指導教員及び外国語が話せる支援員を配置するとともに、新たに県立高等学校5校に日本語指導の専門人材を派遣するなど、日本語教育の充実を図っているところであります。
県といたしましては、引き続き、優秀な外国人材の確保・育成に精力的に取り組むとともに、外国人材が働きやすく、住みやすい、世界から選ばれる県づくりに全力で取り組んでまいります。
次に、本県への観光需要の取り込みについてであります。
我が国が人口減少による経済規模の縮小に直面する中、国内外からの観光需要をしっかりと取り込むことが極めて重要であることから、県ではこれまで、台湾や韓国を中心に市場ニーズを踏まえた戦略的な誘客プロモーションを展開してまいりました。
台湾については、昨年2月、私自ら現地を訪問するとともに、渡辺直美さんを起用し、本県を強烈に印象づける食と観光の大規模プロモーションなどを展開した結果、昨年度の台湾からの延べ宿泊者数は約3万5千人と、コロナ禍前の2019年度を上回ったところであります。
また、韓国については、ゴルフツーリズム需要の高まりに着目し、現地旅行会社へのゴルフツアー造成に向けた積極的な営業活動に加え、現地ゴルフメディアを通じ、本県の充実したゴルフ環境をPRするなど重点的な誘客プロモーションを展開してきた結果、昨年度の韓国からの延べ宿泊者数は約2万人と過去最多となりました。
私といたしましては、この流れを一段と加速させるため、今回提出した補正予算案に、新たな取組として、韓国から本県への旅行費用の助成や、現地での大規模プロモーションなどを実施するための関係経費を計上したところであります。
一方、茨城空港においては、昨年度の旅客数が、国内線では過去最多を更新し、70万人を突破するとともに、国際線を合わせた全体では74万8千人と、過去最多を記録した2019年度の77万6千人に迫る水準となりました。去る4月2日からは、昨年に続き、タイガーエア台湾が、台湾南部の高雄を結ぶ連続チャーター便を運航しておりますほか、先月25日及び26日には、民航機の着陸ルールの弾力化以降、初めてとなるビジネスジェットが運航されたところであります。
また、茨城港においては、去る4月14日に「セブンシーズ エクスプローラー」が寄港するなど、今年度は過去最多となる6隻の外国クルーズ船の寄港が予定されております。
さらに、去る4月18日、国営ひたち海浜公園において、『死ぬまでに行きたい!世界の絶景』の著者である詩歩さんをお招きし、ネモフィラをはじめ、県内の四季折々の花々の見どころを「花絶景」のコンセプトのもとに打ち出し、年間を通した誘客につなげる新たなプロモーションについて発表いたしました。
具体的には、インスタグラムによるフォトコンテストなどSNSを活用したPRを開始しましたほか、「花絶景」を切り口とした観光コンテンツの造成やインバウンドの受入環境の整備などを支援することとし、今回提出した補正予算案に関係経費を計上したところであります。
今後とも、他地域との徹底した差別化による観光地域づくりに取り組むとともに、国内外の旺盛な観光需要を逃さず捉え、本県への誘客を加速させてまいります。
次に、農産物や加工食品の輸出拡大についてであります。
本県農産物や加工食品の輸出拡大を図るため、これまで、かんしょやコメ、常陸牛を主力に、アジアや北米を主なターゲットと位置付け、私自ら、トップセールスを展開するとともに、現地関係者との継続的な関係構築を図ることにより、輸出先や販売ルートの拡大に戦略的に取り組んでまいりました。
こうした中、昨年10月の米国訪問での商談を契機として、常陸牛やコメ、日本酒などの県産品を常時提供している高級日本食レストランが、去る4月に「ミシュランガイド」で「1つ星」を獲得したところであり、今後、米国富裕層を中心に本県産品のプレゼンスが大いに高まるものと期待しております。
これらの取組などにより、農産物の輸出額は前年度の約1.3倍となる17億5千万円、加工食品は前年度の約1.5倍となる24億8千万円と、いずれも過去最高額を更新いたしました。
引き続き、更なる輸出拡大に向け、市場ニーズを的確に捉えたスピード感のある営業活動に取り組み、新たなマーケットの獲得に全力で取り組んでまいります。
次に、農産物のブランド力強化についてであります。
本県農業の持続的な発展を図るためには、収益性の向上が不可欠でありますことから、「茨城農業の将来ビジョン」に基づき、農産物の付加価値の向上を図る取組を加速しているところであります。
特に、メロンについては、質と量ともに日本一の産地育成に向け、高級店における高価格での販売などに取り組んできた結果、2022年のメロン農家1戸あたりの生産農業所得は807万円と、知事就任前の1.5倍に増加いたしました。
本県産メロンの更なるトップブランド化を進めるため、先月24日には、贈答用の高品質で優れた逸品を選抜する品評会として、県オリジナル品種の「イバラキング」に加え、新たに本県産の赤肉メロンも対象に「KING & QUEEN コンテスト 2024」を開催いたしました。その結果、各種メディアに取り上げられたほか、最優秀賞に選ばれた生産者のメロンは、都内高級百貨店において過去最高価格となる1玉1万2,960円で販売され、他の店舗でも完売が相次いだところであります。
今後とも、国内外の高級マーケットへの販路拡大に向け、更なるブランド力の強化にスピード感をもって取り組み、生産者の所得向上を強力に後押ししてまいります。
次に、がん対策の推進についてであります。
県ではこれまで、「茨城県がん検診を推進し、がんと向き合うための県民参療条例」の趣旨などを踏まえ、がん予防・検診の推進やがん医療の充実などに取り組んでまいりましたが、コロナ禍で低下した受診率の向上が急務となっております。
このため、昨年度、4つのモデル市町において、未受診者を対象に、年齢や性別に応じたがん発症確率など個人ごとのリスクを明示した通知を送付し、受診勧奨を行ったところ、例えば、つくば市では、対象者の受診率が2022年度と比較し約5割増加したほか、いずれの市町においても受診者が増加したところであります。
引き続き、こうした取組を他の市町村にも拡大するなど、市町村や企業、検診機関などと連携し、更なる受診率の向上に取り組み、がん対策を一層強化してまいります。
次に、おまつりの後世への継承についてであります。
急激な人口減少や超高齢社会の進展に加え、コロナ禍の影響も相まり、地域のコミュニティや賑わいの形成に重要な役割を果たしてきたおまつりの継承が危惧される状況になっております。
このため、本県が誇る数多くのおまつりの中から、特に、歴史的・文化的価値が高く、観光誘客にも寄与するモデルとなるおまつりについて、外部有識者委員会での審議を経て、「日立さくらまつり」や「石岡のおまつり」など5つを選定し、おまつりの開催や運営、文化財の修繕に必要な経費などを支援することといたしました。
今後とも、将来の世代へ、本県が誇る伝統文化がしっかりと継承されるよう、必要な支援に取り組んでまいります。
次に、提出議案等についてご説明申し上げます。
今回の提出議案は、予算の補正に関するもの1件、条例その他13件、報告1件であります。
まず、一般会計の補正予算についてであります。
今回の補正予算につきましては、防災・減災対策の強化や、事業構造の転換などを促進するために必要な事業について、予算措置を講じることといたしました。
この結果、今回の一般会計補正予算の総額は、12億23百万円となり、補正後の一般会計の予算総額は、1兆2,524億13百万円となります。
次に、歳出の主なものについて申し上げます。
再生可能エネルギー導入レジリエンス強化関連事業 4億4百万円
建築物等震災対策事業 13百万円
重点市場インバウンド誘客促進事業 2億50百万円
などであります。
財源としましては、国庫支出金を活用いたしますとともに、所要の一般財源13百万円につきましては、一般財源基金からの繰入金を充当することといたしました。
また、債務負担行為の補正は、新規1件であります。
条例は、「茨城県手数料徴収条例の一部を改正する条例」など、改正するもの7件であります。
条例以外の議案としては6件で、「工事請負契約の締結について」などであり、報告は、専決処分の報告であります。
以上で、提出議案等の説明を終わりますが、なお詳細につきましては、議案書などによりご審議の上、適切なご議決を賜りますようお願い申し上げます。
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください