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更新日:2023年11月20日
5月15日(火曜日),鹿島地帯特産指導所で標記検討会を開催し,生産者,JA担当者等,計42名が出席しました。鹿南地域の特産であるセンリョウ,若松,ピーマンの各課題について,試験ほ場を見学しながら検討を行いました。
花きでは,3課題(センリョウの輸出を見据えた輸送・病害対策技術,センリョウのプランター栽培技術,キクの生理障害「虎葉症」要因解明・技術対策)の平成29年度試験成績,3課題(センリョウ2課題,若松の出荷調整作業省力化のための収穫物均一化技術)の平成30年度試験設計について意見交換しました。出席者からは,「センリョウ炭疽病の防除にあたっては,これまでやってきた防除の時期や回数等が適切であるのか,本年度の試験成績をもとに再度見直す必要がある」といった意見が出されました。また,センリョウのプランター栽培の様子を見学し,冬場の管理について意見交換しました。
ピーマンでは,3課題(土壌病害抵抗性ピーマンの系統選抜,持続的な栽培を可能とする輪作体系,環境制御技術)の平成29年度試験成績と平成30年度試験設計,2課題(アザミウマ類の薬剤耐性,光環境とピーマンの生育との関連性)の平成30年度試験設計について説明しました。出席者からは,線虫抵抗性ピーマンの育成状況や炭酸ガス施用にかかる経費,ミスト噴霧方法等について質問があがりました。また,「基本的な温度管理方法の習得には,温度計を設置してハウスの状況をこまめに把握することが重要」「夜温を高く管理した場合の収量や経費への影響を試験してほしい」といった意見が出されました。
鹿島地帯特産指導所では,これからも生産者や関係機関と連携し,産地の発展につながる試験研究を行っていきます。
写真1:センリョウプランター栽培試験の様子
写真2:土壌病害抵抗性ピーマン系統選抜試験の様子
6月25日(月曜日)~26日(火曜日),革新的技術開発・緊急展開事業(うち地域戦略プロジェクト)「日本の伝統花きセンリョウの輸出を見据えた輸送及び病害虫対策技術の確立」に係る研究推進会議と現地検討会を開催し,生産者や関係機関,外部アドバイザー等44名が参加しました。
25日に神栖市商工会館で行われた研究推進会議では,昨年度の研究成果の報告の後,本年度の試験計画について検討しました。外部アドバイザーからは,「香港ではセンリョウの流通体制が整いつつあるので,春節に向けて1月以降も安定出荷できる技術や出荷体制が求められる」,「当事業は輸出を見据えた事業であるが,開発された技術は安定生産や国内流通にも寄与できるものであり,今後も関係者で連携を取って推進してほしい」,「事業の成果を現場で使いやすいようにわかりやすくまとめてほしい」等のコメントがありました。
26日は株式会社ミゾグチファームの集出荷場及びほ場において,本年度の試験内容である(1)集出荷施設でのSTS処理試験,(2)ネグサレセンチュウ類防除のためのほ場での農薬処理の実演を行いました。
STS処理については,生産現場で使用した際にコストが高くなることから,処理量や倍率を変えてコストを抑える方法について検討がなされました。また,ネグサレセンチュウは早期防除が必要である旨を説明し,現在検討中の新たな薬剤処理方法について説明しました。
今回の研究推進会議には茨城,高知両産地の生産者が多数参加し,互いの産地に関する情報交換を行うなど,活発な交流が行われました。鹿島地帯特産指導所では,産地の取り組みであるセンリョウの輸出を成功に導くため,今後も生産者や関係機関と連携して事業を推進していきます。
研究推進会議の様子
STS処理の様子
10月30日(火曜日),鹿島地帯特産指導所において標記講座を開催し,生産者・関係機関など,計55名が出席しました。ピーマン栽培における環境制御技術として,1ミスト噴霧による飽差管理と炭酸ガス施用の効果,2光環境が生育に及ぼす影響,について試験概要とこれまでの成果を報告しました。
講座は座学と所内ハウス両方で行いました。ハウスでは現在の試験状況を見学し,出席者はピーマンの生育状況を見ながら,座学で聞いた飽差や照度について体感と実測値を比べるなど,栽培環境がピーマンの生育に与える影響についてより関心が高まったようです。生産者からは自身の栽培環境を踏まえながら「ハウス内の湿度が急激に変化しないように換気したい」,「高温対策の塗布剤が残ると,秋冬の生育に影響を与えるかもしれないので注意したい」といった感想が寄せられました。
また,他の試験課題(病害抵抗性を有する系統選抜・持続的栽培を目指した輪作体系)についても紹介し,試験ほ場を見学しました。
どの課題でも,研究成果や導入した場合の効果などについて活発に質疑応答が行われ,有意義な講座となりました。
座学の様子
試験ハウスの見学の様子
平成31年1月29日(火曜日)に標記の発表会を茨城県神栖市平泉コミュニティセンターで開催し,県内外の生産者・関連資材メーカー・市場流通関係者・学識経験者・関係機関等122名の参加がありました。
本事業は,現場で役立つ技術を開発してすみやかに普及・社会実装することを目的とした事業であり,茨城県と農研機構(野菜花き研究部門),高知県農業技術センター,産地のセンリョウ生産者と一緒にコンソーシアムを組み,関係する業界の方々とも連携して研究を進めてきました。
センリョウは,江戸時代から日本人に愛されてきた伝統的な花きですが,お正月の風習などライフスタイルの変化から国内での需要は減少傾向となっています。100年以上の歴史があり国内でも大きなシェアを有する本県のセンリョウ産地においても,より品質の優れた商品の生産に努めてブランドを維持することに加え,販路拡大の努力も必要となっています。
そこで今回は,旧暦の正月である「春節」に赤いものを飾る風習のあるアジア圏への輸出を想定し,商品をベストな状態で消費者にお届けするための技術開発に取り組みました。
具体的には「品質保持技術の開発」と「病害虫対策技術の開発」を2本柱として,エチレンの作用を阻害して実が落ちることを抑制する延命剤「STS」の効果や処理方法,防除が難しい「炭疽病」や「ネグサレセンチュウ」の有効な農薬と防除体系開発の取組みについて報告しました。さらに,台湾や香港,シンガポールに試験的に輸出したセンリョウについての結果についても報告があり,船便輸送後の商品の品質や病害発生状況が紹介されました。
会場の生産者からは「3年間の研究でこれまで不明であった多くの事象が明らかとなり,対策技術が確立された。この成果を活かしてセンリョウの需要を喚起するような取り組みをしていきたい」との力強い意見が寄せられました。
なお,今回の成果発表会で紹介した技術の内容は,センリョウ輸出マニュアルとして取りまとめ,当所のホームページで公開予定です。
成果発表会の様子
展示したセンリョウ(品質保持技術)
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