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更新日:2021年6月1日
令和3年第2回定例会の開会に当たり、提出いたしました議案等の説明と報告を申し上げます。
はじめに、新型コロナウイルス感染症により、亡くなられた方々のご冥福を謹んでお祈り申し上げますとともに、罹患された皆様に心よりお見舞い申し上げます。
まず、新型コロナウイルス感染症の現状と対策についてであります。
国内における感染は、大都市部から地方に拡大を続け、先月中旬以降、新規陽性者数は全体として減少に転じているものの、依然として増加傾向にある地域も見られるなど、予断を許さない状況が続いております。
政府は、こうした状況を踏まえ、先月28日、10都道府県の「緊急事態宣言」及び5県の「まん延防止等重点措置」を今月20日まで延長することを決定したところであります。
本県におきましても、4月中旬以降、新規陽性者数の増加傾向が続いたため、県の対策指針「茨城版コロナNext」の判断指標は、4月26日からステージ3となっております。
増加の要因といたしましては、変異株の陽性率が高まり、若年層を中心に感染が広がったほか、事業所や福祉施設、部活動など、クラスターが各地で発生したことなどが挙げられるところであります。
こうした中、県といたしましては、感染状況を絶えず分析し、感染拡大の兆候を探知した4月中旬以降、直近1週間の新規陽性者数が人口1万人当たり1.5人以上となった市町村を「感染拡大市町村」に指定し、不要不急の外出自粛や飲食店の営業時間短縮を要請するなど、県独自の対策を講じ、感染抑制に努めてまいりました。
また、感染状況の悪化を踏まえ、西村経済再生担当大臣に対し、本県への「まん延防止等重点措置」の適用について要請してまいりましたが、県独自の対策が一定の効果をあげ、新規陽性者数が減少していることなどから、「まん延防止等重点措置」の適用は見送られている状況です。
そのため、引き続き、感染状況に応じて「感染拡大市町村」を指定するとともに、県職員等からなるキャラバン隊により、県内全市町村を対象に、約7,000件の飲食店の見回りを実施するなど、県独自の対策を進め、感染抑制を図っているところであります。
また、検査体制につきましては、クラスター防止を図るため、プール検査法の導入などにより1日4,500件まで増強した検査能力を最大限に活用し、「感染拡大市町村」における高齢者・障害者福祉施設の従事者への検査を進め、これまでに、約700施設、2万1千人の従事者に検査を行ったところであります。
さらに、先月24日からは、予備費の活用により、感染状況が特に悪化した大洗町において、住民や事業所を対象とした集中検査を行ったところであります。
今回提出した補正予算案においても、特に新規陽性者が多数確認されている地域の住民等に対するPCR検査の経費を計上したところであり、積極的な検査の実施により、県民の安心の獲得と感染者の早期発見を図ってまいります。
なお、直近1週間平均の新規陽性者数は43.8人と、2週連続で前の週に比べ減少しており、県民の皆様のご協力により、こうした結果につながったものと考えております。
今後とも、高い緊張感を持って感染状況を注視し、迅速かつ適時適切に必要な措置を講じてまいります。
次に、ワクチン接種体制の確保についてであります。
医療従事者向けの優先接種につきましては、対象者約9万人に対する2回目の接種を6万3千人が終えております。
既に国からは、対象者分のワクチンが全量供給されておりますことから、今月中には接種が完了する見込みであります。
また、高齢者約84万人につきましては、先月から、全ての市町村で接種が開始され、これまでに、クラスター防止の観点から優先接種を依頼した高齢者・障害者福祉施設の入所者及び従事者など、約10万7千人が1回目の接種を受け、そのうち6千人が2回目の接種を終えております。
国からは、希望する高齢者に7月末を念頭に2回目の接種を終えることができるよう強く求められており、今月中には、対象者分のワクチンが全量供給される見込みであることから、県といたしましては、速やかに接種が終了できるよう、市町村をしっかりと支援してまいります。
具体的には、可能な限り接種終了を前倒しできるよう、関係団体や病院などの協力を得て、医師、看護師、歯科医師の募集及び派遣などの支援を行うとともに、予備費を活用し、県主体による大規模接種会場を県庁福利厚生棟に設置する準備を進めているところであります。
加えて、今後の高齢者以外の方への接種も見据え、現在、県内複数か所への会場設置を検討しているところであり、後日、補正予算案を追加提出したいと考えております。
引き続き、国や市町村と連携を図り、感染対策の切り札となるワクチン接種について、スピード感を持って進められるよう、万全の体制を確保してまいります。
次に、県内産業への支援についてであります。
県独自の緊急事態宣言や「感染拡大市町村」の指定による飲食店に対する営業時間短縮要請への協力金につきましては、昨年度分として、約200億円の支給を完了させたところであります。
今年度、新たに要請したものにつきましても、現時点で、約5,000件の申請に対し、約1,400件、6億2千万円の支給を終えたところであり、引き続き速やかな支給に努めてまいります。
また、本年1月から2月にかけての県独自の緊急事態宣言により、売上が大きく減少した飲食店の取引先事業者などに対する一時金につきましては、昨日申請受付を終了したところであります。
約5,000件の申請に対し、現時点で、約3,100件、6億2千万円の支給を終えたところであり、引き続き審査を進め、速やかに支給してまいります。
なお、国からの地方創生臨時交付金の追加配分などを受け、現在、事業者のための追加支援策などの検討を進めているところであり、今後、準備ができ次第、補正予算案を追加提出したいと考えております。
次に、医師確保に向けた取組についてであります。
本年2月に公表した「最優先で医師確保に取り組む医療機関・診療科」の第2次目標における必要医師7.5名に対し、新たに、小山記念病院の産婦人科常勤医師2名及び常陸大宮済生会病院の循環器内科非常勤医師1名を確保したところであります。
引き続き、令和4年度末までに目標医師数を確保できるよう、全力で取り組んでまいります。
なお、第1次目標において、医師6名を確保した日立製作所日立総合病院におきましては、去る4月1日から、12年ぶりに「地域周産期母子医療センター」を再開し、リスクのある新生児の受入れを開始しております。
引き続き、センターが安定的に運営できるよう支援を進め、県北地域において、誰もが安心して出産・子育てができる医療体制の整備に努めてまいります。
次に、企業立地の推進についてであります。
令和2年の工場立地動向調査によりますと、本県は、工場立地件数及び県外企業立地件数が全国第1位となるなど、コロナ禍の影響を強く受ける厳しい状況下ではありましたが、引き続き、全国トップクラスの実績となりました。
また、私が知事就任以来、特に力を入れて取り組んでいる新たな成長分野の本社機能移転については、この度、2社の誘致を実現し、累計で21社、約2,900人の雇用創出に結びついたところであります。
加えて、分譲価格見直しを契機に公共工業団地の分譲も順調に進み、約1,900人の雇用が見込まれるところであり、全体として大きな成果をあげてきたものと考えております。
今後も、次世代自動車や蓄電池産業、半導体・情報通信産業など、旺盛な設備投資が期待される分野に対し、全国トップレベルの補助制度も活用しながら戦略的な誘致活動を展開することで、1社でも多くの企業立地を実現してまいります。
次に、台風・豪雨災害からの復旧・復興についてであります。
平成27年関東・東北豪雨を受け、国と県、流域7市町の連携により、河道掘削や堤防整備などの復旧・復興事業を進めてきた「鬼怒川緊急対策プロジェクト」につきましては、先月をもって関東・東北豪雨と同程度の水量を安全に流すための工事が完了いたしました。
これにより、流域の治水安全度が大きく向上し、浸水被害の軽減など、地域の安心安全が図られたところであります。
また、令和元年東日本台風からの復旧・復興につきましては、去る3月27日、JR東日本をはじめ関係者の皆様のご尽力により、水郡線の全線開通が実現いたしました。
沿線地域の方々にとりましては待望の運転再開であり、今後、沿線自治体とも連携しながら、魅力発信や誘客に向けた取組を一層推進し、地域の活性化につなげてまいります。
一方、久慈川・那珂川においては、「緊急治水対策プロジェクト」が令和6年度の完了を目標に進められております。
県といたしましても、今年度から専任の職員を増員し、国の権限代行区間における用地取得を支援するなど、事業を強力に推進してまいります。
また、来月上旬には、常陸太田市及び常陸大宮市との共催により、発災時の住民の逃げ遅れゼロを目指し、災害ハザード内の住民参加による避難訓練と、個人の防災行動計画であるマイ・タイムライン作成とを組み合わせた、より実践的な「避難力強化訓練」を実施してまいります。
引き続き、ハード対策とソフト対策を組み合わせた流域治水対策を県内全域で推進するなど、防災・減災対策の加速化を図ってまいります。
次に、農産物の輸出拡大と常陸牛の振興についてであります。
農産物の輸出拡大につきましては、これまで、私自ら、海外でのトップセールスを実施するとともに、現地量販店等でのプロモーションを展開するなど、海外販路の開拓に積極的に取り組んでまいりました。
その結果、東南アジア向けの白菜やアメリカ向け梨の輸出など、輸出品目や輸出先国も着実に拡大し、昨年度の輸出額は、青果物、コメ、畜産物を合わせて、令和元年度比で、約15パーセント増の7億4千万円と、過去最高額を更新したところであります。
また、先月26日からは、新たにメロンの県オリジナル品種イバラキング等の香港向け輸出が開始されたところであります。
引き続き、更なる輸出拡大に向け、これまでに築いた販路の維持・定着はもとより、本県の輸出を牽引する、かんしょとコメを中心に、新たな海外販路の開拓に挑戦してまいります。
一方、常陸牛につきましては、昨年度の出荷頭数が、昭和51年の生産開始以来、初めて1万頭を突破し、全国でも有数の規模を誇る銘柄牛となりました。
今年度は、新たな取組として、受精卵移植技術の活用により、高能力の繁殖雌牛の増頭を図るとともに、昨年度策定したアメリカ市場におけるマーケティング戦略に基づき、現地の食肉卸業者との交渉や日本へのバイヤー招聘を行うなど、海外販路の拡大にも取り組んでまいります。
今後も、生産から流通・販売に至るまでの対策を一体的かつ戦略的に展開し、儲かる経営体の育成とブランド化の取組を加速してまいります。
次に、県立高等学校入学者選抜学力検査等における採点誤り事案への対応についてであります。
本事案につきましては、学識経験者等の第三者で構成する「県立高等学校等入学者選抜調査改善委員会」から、採点システムの見直しや採点業務の日程の見直しなどの再発防止に向けた改善策のほか、関係者の責任の在り方についての提言がなされました。
これを受け、先月、教育委員会において、新たな採点システムの導入などを柱とする改善策を取りまとめるとともに、今般の採点誤りにより、受検生をはじめ県民の信頼を大きく損なった責任として、教育長が給与を自主返納することとしたほか、関係教職員の処分が行われたところであります。
今後、来春の入学者選抜に向け、管理職及び採点担当教員を対象とした研修会やシミュレーションを実施し、改善策を学校現場に定着させるなど、今回のような事案が二度と起こることのないよう、再発防止の徹底を図ってまいります。
次に、福島第一原子力発電所の処理水の取扱いに係る政府方針の決定についてであります。
去る4月13日、政府においては、安全性の確保と風評対策の徹底を前提に、処理水を海洋放出する方針を決定したところであります。
政府方針の決定を受け、私は、国と東京電力に対し、県民への丁寧な説明を尽くし、地元の方々の納得を得る努力をしっかりと続けるとともに、処理水の安全安心な処分と風評への万全な対応に責任を持って取り組むよう、強く求めたところであります。
今後、国では、必要となる対策を取りまとめた中長期的な行動計画を策定していくこととしておりますが、県といたしましては、その動向を注視するとともに、漁業関係者をはじめ、県内の関係団体等のご意見も伺いながら、国や東京電力への働きかけを引き続きしっかりと行ってまいります。
次に、カーボンニュートラル産業拠点の創出に向けた取組についてであります。
カーボンニュートラルの達成に向けた動きが世界的に急速に進む中、これを本県の成長の原動力とするためには、クリーン電力や新エネルギーのサプライチェーンの構築と、エネルギー構造の抜本的転換に必要な技術開発・設備投資に取り組んでいく必要があります。
このため、県では、港湾や様々な産業拠点、研究機関等が集積する本県のポテンシャルを活かしながら、カーボンニュートラル社会を支える産業拠点の形成を目指すため、先月26日、新たに「いばらきカーボンニュートラル産業拠点創出プロジェクト」の立ち上げを発表したところであります。
当面は、新エネルギーの需要と供給のポテンシャルが高いと認められる臨海部において「カーボンニュートラルビジネス促進区域」を設定するなどして機運の醸成を図りながら、官民連携体制を構築するとともに、グリーンイノベーション基金など国の支援制度の積極的な活用に向けた伴走型支援を実施し、本県の将来を担う産業の創出を図ってまいります。
次に、障害者の工賃向上に向けた取組についてであります。
本県におきましては、障害の程度が比較的重い方が利用する就労継続支援B型事業所の工賃が、令和元年度の実績で全国第44位と低い水準にあります。
そのため、先般、事業所向けに「工賃向上計画策定に関するガイドライン」を作成し、本県における一般労働者の最低賃金の全国水準と同様に、全国第16位の水準となる目標工賃を示すとともに、その目標達成に向け、企業経営の手法を積極的に取り入れた商品開発や販路開拓といった経営改善のポイントなどを紹介したところであります。
今後、ガイドラインに基づき、共同受発注センターの指導員等が各事業所における工賃向上計画の策定や受注拡大を支援することで、障害者の工賃の底上げを図ってまいります。
次に、茨城県フラワーパークのリニューアルについてであります。
フラワーパークにつきましては、集客力を飛躍的に向上させ、本県を代表する観光拠点へと一新するため、民間企業の経営感覚と自由な発想を取り入れながら、約2か年にわたる大規模な改修工事を経て、去る4月29日にリニューアルオープンいたしました。
「見るから感じるフラワーパーク」をコンセプトとしたリニューアルにより、年間を通じて食や体験も存分に楽しめる花のテーマパークとして生まれ変わり、オープン後の1か月で5万人を超える幅広い年齢層の方々にご来園いただいているところであります。
この夏には、隣接する「石岡市ふれあいの森」が、円形の宿泊棟「サークルロッジ」やグランピングサイトを備えた滞在型観光施設としてリニューアルされることから、今後、これらとの連携により、フラワーパークを核とした周遊観光の促進を図るとともに、本県観光の更なる誘客につながるよう時機を捉えた戦略的なPRを展開してまいります。
最後に、提出議案等についてご説明申し上げます。
今回の提出議案は、予算の補正に関するもの1件、条例その他12件、報告1件であります。
まず、一般会計の補正予算についてであります。
今回の補正予算におきましては、先に申し上げました感染拡大地域に対する積極的PCR検査の実施や、ワクチン接種に係る医療従事者確保に対する支援として6億75百万円、感染症検査付き宿泊旅行商品を造成する県内宿泊施設等に対する支援として4億87百万円を計上するほか、予備費の増額を行うこととしております。
この結果、今回の補正予算の総額は21億62百万円となり、補正後の一般会計の予算総額は、1兆3,267億51百万円となります。
財源といたしましては、国庫支出金を活用いたしますとともに、所要の一般財源10億円につきましては、一般財源基金からの繰入金を充当することといたしました。
次に、条例は、改正するもの11件で、地方税法の一部改正等に伴い、所要の改正をしようとする「茨城県県税条例の一部を改正する条例」などであります。
条例以外の議案は1件で、茨城港常陸那珂港区において事業用地を売却しようとする「県有財産の売却処分について」であります。
次に、報告は1件で、専決処分の報告であります。
以上で、提出議案等の説明を終わりますが、なお詳細につきましては、お手元の議案書等によりご審議の上、適切なご議決を賜りますようお願い申し上げます。
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