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更新日:2019年2月27日

平成31年第1回定例会(知事提案説明要旨)

はじめに、謹んで一言申し上げます。

天皇陛下におかれましては、本年、御在位30年をお迎えになられましたことを、県民とともに心からお慶び申し上げます。

この間、天皇、皇后両陛下におかれましては、全国植樹祭に御臨席を賜りましたことをはじめ、幾度となく御来県を賜り、多くの県民と親しく交流を深めていただきました。東日本大震災や関東・東北豪雨の際には、被災後、間をおかずに本県の被災地をお見舞いいただき、被災した方々一人ひとりに心温まる御言葉を賜り、復興への大きな励みとなりました。

30年もの間、国民に常に寄り添い、共に歩んでいただきましたことに改めて深く感謝を申し上げますとともに、皇太子殿下が新天皇に御即位されますことを心からお祝い申し上げます。

さて、平成31年第1回県議会定例会の開会に当たり、提出いたしました議案等の説明に先立ち、県政運営に関する所信の一端を申し上げます。

 

(第1政運営の基本方針)

(平成を振り返って)

新たな時代を迎えるにあたり振り返りますと、平成という時代は、バブル景気に始まり、その崩壊から長期にわたる経済の低迷、東日本大震災をはじめとする大規模災害など、様々な困難が次々と押し寄せる時代であったのではないかと思います。

日本がそのような中にあっても、本県では、県発展の礎を築いた昭和の鹿島開発、筑波研究学園都市建設から連なる、平成10年の常陸那珂港開港、平成17年のつくばエクスプレス開業、平成22年の茨城空港開港、平成23年の北関東道及び平成29年の圏央道の県内区間の全通といった、先人たちが種をまいた多くのビッグプロジェクトが結実してまいりました。こうした社会基盤が今の私たちの生活に与えている恩恵の大きさを考えると、先人たちの先見の明に畏敬の念を禁じ得ないだけでなく、今を生きる私たちの決断の一つひとつが、将来の茨城に、日本に、そして世界に与えるであろう影響の大きさを感じずにはいられません。

一方で、本県の人口は平成12年の約300万人をピークに減少を続け、少子高齢化が進行するとともに本格的な人口減少社会に突入いたしました。人口減少は少しずつ、しかし確実に、私たちの身の回りに影響を及ぼし始めております。平成の次の時代を生きることとなる私たちは、少子高齢・人口減少を前提条件とした上で、いかにして活力ある社会、誰もが住みたい、住み続けたいと思える社会を作っていくかということを考えていかなければなりません。偉大な先人たちの一つひとつの決断が今の本県を形作ったように、私たちの後の世代のために、私たちは今、行動しなければならないのです。

 

(新たな時代を迎えるにあたって)

インターネットが一般に広く普及したのは、Windows95の登場がきっかけと言われておりますが、その後、社会のネットワーク化は急速に進み、今やありとあらゆるものがネットワークでつながる時代を迎えつつあります。コンピュータの性能は18ヶ月ごとに2倍になると言われてまいりましたが、技術革新の指数関数的な進展とあらゆるもののネットワーク化とが相まって、社会の変化も急激に加速し、これからは変化自体が常態化する時代を迎えるとも言われております。国家の垣根を超えたGAFAと呼ばれる巨大IT企業群が世界の社会システムにもたらす様々な影響が顕在化するなど、私たちが迎えようとしている平成の次の新しい時代は、これまで以上に複雑で、将来の予測も難しい社会であると認識しなければなりません。

そのような中でも、私たちは自らの手で、茨城の未来を作り上げていかなければなりません。失敗を恐れず新しいことに積極的にチャレンジし、社会の変化の荒波の中を進んでいかなければならないのです。私は、県民の皆様とともに力を合わせて挑戦していけば、輝かしい茨城の未来が必ずや切り開けるものと確信しております。私は、これからもその先頭に立って、県民の皆様とともに行動してまいります。

 

(新たな県総合計画の策定)

これまで経験したことのない時代の転換期を迎えるなかで、県民の皆様とともに行動するための羅針盤となる、新たな県総合計画を、茨城県総合計画審議会での議論や県議会新しい茨城づくり調査特別委員会のご提言を踏まえ、昨年11月に策定いたしました。

計画では「活力があり、県民が日本一幸せな県」を基本理念として、県民の皆様が「豊かさ」を享受し、「安心安全」な生活環境のもと、未来を担う「人財」が育まれ、「夢・希望」にあふれた「新しい茨城」をつくるため、4つのチャレンジに取り組むとしたところであります。

4つのチャレンジの下には、基本理念の実現に向けて20の政策を掲げるとともに、本県が飛躍するために極めて重要となる10年間を見据えた中期的な視点による重点施策やチャレンジ指標などを盛り込みました。

この新たな県総合計画を県政運営の指針とし、多様な主体と連携・協働しながら、活力があり、県民が日本一幸せな県の実現に向けて、果敢に挑戦を進めてまいります。

 

(これまでの取組み)

本県が抱える様々な課題に対応するため、これまでの常識にとらわれずに多くの取組みを進めてきたところであり、徐々にその芽が出始めてまいりました。

喫緊の課題である医師確保につきましては、医師確保緊急対策行動宣言に基づく政策パッケージの進捗管理を行いながら、最優先に取り組む医療機関・診療科の医師を計17名と、目標を明確化したうえで、具体的な取組みを進め、これまでに4名の医師を確保できる見通しとなりました。

質の高い雇用の創出につながる企業を誘致するため、全国トップレベルの本社機能等移転補助制度を創設し、新たに7社の本社や研究開発拠点等が、本県への立地を決めました。

農家の所得向上や農業の成長産業化を図るため、農地を集約し、大規模水稲経営体を育成するモデル作りに、県内5地区で新たに着手いたしました。

茨城の未来をつくる「人財」を育むため、トップレベルの英語やプログラミングの学習機会を提供し、80名の中高生が参加いたしました。さらに、これからの時代に不可欠なプログラミングの学習のきっかけとなる機会を高校生に提供したところ、7千人を超える生徒が参加いたしました。

いよいよ本年開催となる国民体育大会に向けた選手力強化を進め、先日終了した第74回国民体育大会冬季大会において、天皇杯・皇后杯とも第3位を獲得し、本大会に向けて幸先よいスタートを切ることができました。

茨城国際観光大使の第一号に委嘱した香港の大手訪日旅行会社社長の袁文英氏にご協力をいただき、茨城空港開港以来初めてとなる香港チャーター便の就航決定につながりました。また、航空会社と粘り強く交渉を重ね、ソウル・台北の定期便開設が実現し、茨城空港の利用者も過去最高となる見込みであります。

東京における本県のPR拠点となるようコンセプトを改め、厳選された茨城の逸品を紹介する県アンテナショップ「イバラキセンス」をオープンするとともに、今月初旬には米国ニューヨークを訪れ、笠間焼と常陸牛のPRを実施するなど、国の内外を問わず私自らトップセールスを重ねてまいりました。

私は、「人口減少が進む今後10年間に何をするかで茨城県の未来が大きく方向づけられる」と度々申し上げてまいりました。この一年、様々な芽が出てまいりましたが、残された時間はあまり多くはありません。新たな時代においても、スピード感をもって挑戦を続けてまいります。

 

(第2算の全体像)

今回提案する平成31年度当初予算は、新たな時代の幕開けに向けた予算であり、この一年で出た芽を大きく育て、挑戦を加速させるための予算でもあります。予算編成にあたっては、新しい茨城づくりに向けて、職員と様々な分野にわたって議論を重ねるとともに、県内外の多くの方々からお話を伺い、意見交換を行ってまいりました。また、これまでの取組みの実績や効果についてしっかりと検証し、必要な見直しを行うとともに、新たな課題にも積極的に対応できるよう、取りまとめたものであります。

一般会計予算の総額は、30年度当初予算から2.2パーセント増となる240億円増の1兆1,357億13百万円となっております。

歳入につきましては、県税収入が企業収益の増などを見込み、30年度当初予算に比べ、0.5パーセント、20億円増の3,865億円と見込んでおります。地方交付税は、普通交付税の増等により、0.6パーセント、11億円増の1,860億円と見込むとともに、臨時財政対策債は、地方財政計画を踏まえ、14.2パーセント、91億円減の550億円を計上いたしました。

一方、歳出につきましては、一般行政費は、国体開催経費の増などにより、30年度当初予算に比べ、3.6パーセント、121億円増の3,511億円となっております。公共事業費は、東日本大震災関連事業が減少する中で、国の「防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策」に歩調を合わせた対応などの予算を計上したところであり、特別会計及び企業会計を含む公共事業全体で7.1パーセント、84億円の増となる1,265億円を確保いたしました。

特別会計は13件で、総額5,955億4百万円、3.6パーセントの減、企業会計は6件で、総額1,102億81百万円、1.9パーセントの増となっております。

 

(第3な施策)

次に、平成31年度の主な施策について申し上げます。

第1は、新しい豊かさについてであります。

 

(質の高い雇用の創出)

まず、質の高い雇用の創出についてであります。

茨城に住みたい、住み続けたいと思う人を増やすためには、いろいろな方々の希望に応じられる多種多様で質の高い雇用が確保されていることが大変重要であります。

引き続き、AI・IoT関連など新たな成長分野の研究施設や本社機能等の移転に取り組むとともに、一部地域においては本社機能等の移転先となるオフィスビルが不足していることから、新たにオフィスビルの整備に対する補助をメニューに追加し、受け皿となる環境整備を促進してまいります。

大学や研究機関等が集積する本県の強みを活かし、起業や創業のために活動する入居者を支援するオフィス、いわゆるインキュベーション施設の整備等を進め、革新的なベンチャー企業が成長、定着して事業展開できる環境づくりを促進してまいります。

今月22日、宇宙航空研究開発機構、JAXAの探査機「はやぶさ2」が小惑星りゅうぐうへの着陸に成功いたしましたが、今後成長が見込まれる宇宙ビジネスにつきましては、昨年12月に、いばらき宇宙ビジネスサミットを開催したところであります。引き続き、「宇宙といえば茨城」というブランドの構築を進め、宇宙ビジネスに挑戦できる拠点の形成を図ってまいります。

 

(中小企業等への支援)

次に、中小企業等への支援についてであります。

県産業技術イノベーションセンターにおいて、AI・IoTやビジネス創出ノウハウなどの知識修得から、ビジネスプランの構築、次世代技術を活用したビジネスの創出・展開まで一貫した支援を実施し、新ビジネス創出による県内中小企業の競争力強化を図ってまいります。

また、後継者不足による黒字企業の廃業が増加していることを踏まえ、売り手企業と買い手企業とのマッチングの促進やM&Aの機運醸成などにより事業承継を支援するとともに、中小企業の生産性向上に向けた個別コンサルティング等の取組みを引き続き進めることなどにより、地域産業の活性化を推進してまいります。

 

(外国人材の受入環境整備)

次に、外国人材の受入環境整備についてであります。

国による外国人材受入促進策に呼応するとともに、県内企業の人手不足に対応するため、来年度から新たに「(仮称)外国人材支援センター」を設立し、関係機関との連携体制を構築してまいります。外国人材の就職、生活相談や日本語学習の支援、受入企業の開拓等を行うとともに、農業分野においても、外国人労働者の住環境整備支援に取り組むことなどにより、外国人材を継続的かつ安定的に確保できる仕組みを作ってまいります。

 

(強い農林水産業)

次に、強い農林水産業についてであります。

産地間競争が一層激化する中で、本県の農林水産業が発展していくためには、付加価値や生産性の向上が不可欠であります。

まず、本県農林水産物全体のブランド力を強化し、付加価値を高めるため、梨の「恵水」、豚肉の「常陸の輝き」の二品目に特化し、これらを全国トップブランドへと育成する取組みを進めてまいります。

また、今年度から始まった大規模水稲経営体を育成する取組みを引き続き進めるとともに、県北地域において、有機農業の大規模なモデル団地整備に対して支援を行い、付加価値の高い園芸作物の栽培を推進してまいります。

深刻化するイノシシ等の鳥獣被害に対して、ICT技術の活用による捕獲活動や、イノシシ等を「近づけない」環境づくりへの支援を強化するとともに、「狩りガール」による狩猟体験ツアーなど、鳥獣被害の軽減につながる狩猟の担い手確保のための取組みも進めてまいります。

家畜伝染病の豚コレラにつきまして、中部地方を中心に感染が拡大していることから、今月8日に県危機管理連絡会議を開催するとともに、関係機関との連携体制を確認したところであります。全国有数の養豚県である本県としましては、今後とも、豚コレラの感染防止に向けて、早期発見と早期対応を図る体制を強化してまいります。

 

(女性活躍推進と働き方改革)

次に、女性活躍推進と働き方改革についてであります。

女性活躍を進めるためには、多くの女性が職場の中で責任ある地位に就くことが大変重要であります。このため、女性管理職を積極的に登用する企業等への表彰制度を新設するとともに、先進企業の事例紹介などの企業トップに向けたセミナー開催などにより、企業等での女性登用を促進してまいります。

新たに、ワーク・ライフ・バランスを実現した優れた企業を、働き方改革優良企業として認定する制度を設けることなどにより、働き方改革に向けた取組みを加速してまいります。

また、県庁内の業務を効率化し、真に県民の皆様のためになる業務に職員が注力できるようにするため、RPAやAIを導入し、定型業務の自動化等を進めるとともに、庁内保育所を整備するなど、率先して職員の働き方改革を推進してまいります。

 

(かけがえのない自然環境の保全・再生)

次に、かけがえのない自然環境の保全・再生についてであります。

霞ヶ浦の水質浄化のためには、汚濁負荷の削減を重点的に行うことが必要であることから、環境保全対策調査特別委員会からのご提言も踏まえ、霞ケ浦水質保全条例等を改正し、小規模事業所に対して、改善命令や罰則の規定を設けるなどの規制強化を行うとともに、事業所の排水対策を促進するため、融資枠を拡充し利子補給を行ってまいります。

第2は、新しい安心安全についてであります。

 

(県民の命を守る地域医療・福祉)

まず、県民の命を守る地域医療・福祉についてであります。

本県の喫緊の課題である医師確保については、一年前に公表した医師確保緊急対策行動宣言に基づく政策パッケージを速やかに実行するとともに、新たな発想であらゆる方策の検討を進め、医師の確保と県内定着、地域偏在の是正を図ってまいります。

なかでも、最優先で医師確保に取り組む医療機関・診療科につきましては、先に申し上げましたとおり、日立製作所日立総合病院の産婦人科医4名について、今年4月からの派遣が決定したところであります。目標としている他の医療機関・診療科についても、各医療機関と連携し、2020年9月までの医師確保を目指してまいります。

医療資源が不足している地域の医療提供体制を充実させるためには、ICTを活用した遠隔医療が有効な手段であることから、県北地域で整備した脳疾患にかかる遠隔画像診断治療補助システムについて県西地域への導入を進めるほか、新たに心疾患治療を提供する地域の中核的な病院と筑波大学附属病院とをつなぐ双方向の映像配信システムの導入を進めてまいります。さらに、防災ヘリによるドクターヘリの補完的運航を7月から新たに開始するなど、今後とも、ICTの積極的な活用をはじめ、様々な手法を駆使して、全国のモデルとなる茨城型の医療提供体制を構築してまいります。

地域保健の充実につきましては、地域保健対策の拠点としての保健所の体制強化を図るために設置した保健所再編検討懇話会において、再編に係る意見書がまとめられたところです。今後は、この意見書を踏まえ、具体的な組織体制を整理するなど、本年11月の再編に向けて準備を進めてまいります。

 

(健康長寿日本一)

次に、健康長寿日本一についてであります。

人生百年時代を見据え健康寿命を延ばしていくため、働く世代をメインターゲットとして、経済団体などの関係者との連携を図るとともに、スマートフォンアプリを活用した運動や健康な食生活の促進などに取り組み、県民総ぐるみで健康長寿日本一を目指してまいります。

また、介護分野において、働く意欲のあるシニア層が積極的に介護に参画できるよう、介護周辺業務を習得するための施設への派遣研修の実施などにより、介護人材の確保とともに、高齢者の生きがいづくりに取り組んでまいります。

 

(障害のある人も暮らしやすい社会)

次に、障害のある人も暮らしやすい社会についてであります。

重度の身体障害者・知的障害者・精神障害者の方を対象にした医療費助成制度、いわゆるマル福制度につきましては、4月1日から認定要件に精神障害者保健福祉手帳1級保持者を新たに加えることで、健康の保持と経済的負担の軽減を図ります。

発達障害者支援につきましては、発達障害に関する相談等が年々増加している状況を踏まえ、先月1日付けでつくば市内に発達障害者支援センターを増設しました。センターの増設により、県民がより身近な地域で支援を受けられるようになるとともに、発達障害者に対する支援体制の整備向上に繋がるものと期待しております。

 

(安心して暮らせる社会)

次に、安心して暮らせる社会についてであります。

社会が急速に変化していく中で、地域課題も複雑多様化していることから、行政による「公助」だけではなく、これまで以上に「共助」という考え方が重要になっております。こうしたことから、例えば独居高齢者の見守り、移動困難者への支援や居場所づくりといった地域の課題に対応できるよう、NPOや企業等の多様な主体の参入を促すため、提案型の助成事業を新たに創設し、助け合い運動を促進してまいります。将来的には自立した事業展開が図れるよう、一定期間支援することにより、今の茨城県にとって必要でありながら、行政だけでは対応が困難な課題に、適切かつ持続的に対応できる体制を構築してまいります。

 

(災害に強い県土)

次に、災害に強い県土についてであります。

これまで、本県は、東日本大震災や関東・東北豪雨など、大きな災害に見舞われてまいりました。今後も災害の大規模化が懸念されておりますことから、ハードとソフトの両面から、災害に強い県土づくりを強化していかなければなりません。

このため、県民一人ひとりが適切な避難行動を取れるよう、住民同士で危険箇所等を地図に記載するマイマップに加えて、個人ごとに災害時の行動計画を作成するマイ・タイムラインについて、県が主導し、災害発生の危険性の高い地域から作成支援を進めてまいります。併せて、橋りょうの耐震化、重要港湾の防波堤の整備や鬼怒川の集中的な改修など、東日本大震災や関東・東北豪雨からの復興に引き続き取り組むとともに、インフラの老朽化対策を進め、総合的な防災・減災対策を進めてまいります。

今月22日に、日本原子力発電株式会社から、東海第二発電所の再稼働を目指すとの方針を示されたところであります。

東海第二発電所の再稼働につきましては、県民の安心・安全の確保が何よりも重要であることから、まずは、現在進めている県の原子力安全対策委員会による安全性の検証や、東海第二地域全体の避難計画である緊急時対応の策定に取り組み、その結果を県民の皆様に情報提供したうえで、再稼働に対する県民の皆様のご意見をしっかりと伺いながら慎重に判断してまいります。

第3は、新しい「人財」育成についてであります。

 

(次世代を担う「人財」育成と魅力ある教育環境)

まず、次世代を担う「人財」育成と魅力ある教育環境についてであります。

豊かな人間性と起業家精神を兼ね備えた、地域のリーダーや世界に飛び立つ人財を育成するため、新たに中高一貫教育校10校を設置することとし、2020年度以降の開校に向け、準備を進めてまいります。

将来の予測が難しく変化の激しい時代において、子どもたちがたくましく生き抜くためには、自らが課題を発見しその解決に向けて行動できる力、いわゆる「アントレプレナーシップ」を養っていくことが重要であります。このため、高校生を対象に、課題解決に向けた企画立案や実践を行う取組みを行ってまいります。

増加が見込まれる外国人児童生徒に対応するため、外部人材の派遣等による日本語指導の充実を図るとともに、支援体制を整備してまいります。

 

(日本一、子どもを産み育てやすい県)

次に、日本一、子どもを産み育てやすい県についてであります。

安心して結婚・出産・子育てができるよう、切れ目のない支援体制の構築などの環境づくりが求められております。そのため、国の幼児教育無償化の取組みに対応するとともに、県独自の取組みとして、子育て家庭の経済的負担を緩和する保育料の軽減制度を拡充し、第3子以降の3歳未満児に係る保育料の所得制限を撤廃して完全無償化することにより、さらなる少子化対策の充実を図ります。

待機児童の解消に向けて、今年度設置した「いばらき保育人材バンク」を拡充し、保育に関心のある方などを対象に、保育所等への就業と保育士資格の取得を促進することなどにより、喫緊の課題である保育人材のさらなる確保を図ります。

近年増加している児童虐待相談に迅速に対応するため、児童福祉司及び児童心理司を大幅に増員するとともに、平成31年度組織改正において、福祉相談センター内で対応している児童相談業務を分離し、独立して中央児童相談所を設置することとし、関連する条例改正を提案したところであります。

 

(学び・文化・スポーツ・遊びを楽しむ茨城)

次に、学び・文化・スポーツ・遊びを楽しむ茨城についてであります。

県民の読書や学習ニーズに迅速かつ的確に対応するため、県立図書館のインターネット予約による図書の遠隔地貸出サービスを構築してまいります。また、カフェスペースの整備を進めるなど、これまで以上に多くの県民の皆様に利用していただけるよう魅力ある県立図書館の運営に努めてまいります。

県民文化センターにおいて国際会議等を誘致できるよう、映像設備や同時通訳機器等を設置し、コンベンション機能を強化することで、県民文化センターの利便性や機能の向上を図ります。

 

(人権を尊重し、多様性を認め合う社会)

次に、人権を尊重し、多様性を認め合う社会についてであります。

誰もが生きづらさを感じることのないダイバーシティ社会づくりを進めるためには、性的少数者、いわゆるLGBTの方々も含めた県民の皆様の人権が尊重され、それぞれの個性と能力を社会の中で十分に発揮できることが大切であります。このため、LGBTの相談窓口の整備に向けた相談員育成に取り組むとともに、パートナーシップ制度について検討してまいります。併せて男女共同参画推進条例を改正し、性的少数者の皆様が安心して日常生活を過ごすことができるよう、不当な差別的取扱いの解消や、性的少数者への理解の増進を図ってまいります。

第4は、新しい夢・希望についてであります。

 

(魅力度No.1プロジェクト)

まず、魅力度No.1プロジェクトについてであります。

観光誘客、県産品などにおける茨城ブランドの確立に向けた戦略的な取組みを推進するとともに、県アンテナショップ「イバラキセンス」を活用し、優れた県内生産者や企業を全国に飛躍させるチャレンジ機能の強化や、生産者などに対するお客様の声のフィードバックによる商品のブラッシュアップなど、県産品の知名度や品質の向上に向けて取り組んでまいります。

県公認のバーチャルYoutuber「茨ひより」の動画配信やイベントへの出演をはじめとして、ネットメディアを活用した国内外での話題づくりに取り組むとともに、首都圏のテレビを中心とした本県の魅力を発信するCMの放送など、様々な手法による発信力の強化に取り組んでまいります。

 

(世界に飛躍する茨城へ)

次に、「世界に飛躍する茨城へ」についてであります。

6月につくば国際会議場で開催されるG20茨城つくば貿易・デジタル経済大臣会合につきましては、会合の成功と円滑な運営支援に万全を期すとともに、本県が有する先端技術の集積や豊かな食材、美しい自然等の魅力を世界に発信する絶好の機会と捉え、海外からの投資や誘客につなげられるよう、全力で取り組んでまいります。

国内市場が縮小する中、新たな市場を海外に求めていくことが重要であるため、今年度は、私自らが、米国サンフランシスコ、ニューヨークにおいて常陸牛を中心とした県産品のトップセールスを行ってまいりました。また、来月8日から米国サンノゼの日系スーパー、ミツワマーケットプレイスにおいて茨城県産品フェアを実施いたします。今後とも、ジェトロ茨城をはじめ関係機関と連携して、新たに形成したネットワークを活かしてアメリカへの常陸牛やいちごなどの輸出拡大の取組みを強化するとともに、ASEANのショーケースとも言われるシンガポールや昨年輸出規制が緩和された香港への県産品の輸出拡大に取り組んでまいります。

 

(ビジット茨城~新観光創生~)

次に、ビジット茨城についてであります。

観光振興につきましては、「稼げる観光地域づくり」に向けて、市町村や関係団体等との連携を密にし、観光資源の磨き上げや、本県の強みである「絶景」の活用、体験型観光の促進に取り組んでまいります。また、増加が見込まれる宿泊観光需要を県内に取り込むため、フラッグシップとなるホテル等の立地に向け誘致活動に引き続き取り組むとともに、県内の宿泊施設のさらなる魅力向上を進めます。

日本三名園の一つであり、年間約100万人もの方が訪れる偕楽園を県内随一の観光周遊拠点となるよう、歴史的景観の復元や、休憩機能の強化、偕楽園本園と拡張部とのアクセス向上など、魅力向上に取り組んでまいります。これらの実現に向け、県外のお客様から一定のご負担をいただくなど、偕楽園本園の有料化について検討を進めてまいります。

昭和60年に開園した県フラワーパークを、国営ひたち海浜公園と並ぶ花の聖地を目指して、民間企業の経営感覚と自由な発想を活かし、茨城の魅力を発信する観光拠点に一新いたします。2020年度にリニューアルオープンできるよう、施設の改修等を実施してまいります。

りんりんスクエア土浦の開業から約一年が経過し、つくば霞ヶ浦りんりんロード沿線地域では、本格的なサイクリストをはじめ、レンタサイクルで街なかなどの観光を楽しむお客様が増えてまいりました。「サイクリング王国いばらき」を目指し、りんりんロード沿線地域の取組みを全県的に展開するとともに、自転車活用推進計画の策定などを通じて、サイクルツーリズムの推進に県を挙げて取り組んでまいります。

アクアワールド茨城県大洗水族館につきましては、大洗周辺の新たな夜間観光スポットとなるよう整備を進めるとともに、入館者の満足度を高め再訪を促す魅力を付加するため、展示等のリニューアルを実施いたします。

台湾、韓国を対象にSNS等を活用したインパクトのある誘客プロモーションを重点的に実施するとともに、ゴルフツーリズムや酒蔵ツーリズムなど、国や地域のニーズを踏まえたプロモーションを戦略的に展開することにより、海外からの誘客促進に積極的に取り組んでまいります。

クルーズ船につきましては、本県初となる本年4月の茨城港常陸那珂港区への外国クルーズ船の寄港をはじめとして計4隻の外国クルーズ船の寄港が決定しております。引き続き、船会社などに向けて茨城の魅力や茨城港の優位性などを効果的にPRするとともに、おもてなしのさらなる充実に努め、クルーズ船の誘致に積極的に取り組んでまいります。

 

(茨城国体・全国障害者スポーツ大会、東京オリンピック・パラリンピックの成功)

次に、茨城国体・全国障害者スポーツ大会、東京オリンピック・パラリンピックの成功についてであります。

本年は、いよいよ茨城国体・全国障害者スポーツ大会が開催されます。選手の皆様に最高の舞台を用意するため、選手や関係者の安全と確実な輸送、宿泊先の確保などに万全を期してまいります。全国に茨城をPRする絶好の機会であることから、本県の特色を活かした開閉会式の開催や、花いっぱい運動や都道府県応援団など、多くのボランティアに参加いただいて行う心のこもったおもてなしの展開などを通じ、本県の魅力を最大限に発信してまいります。

開催期間中にeスポーツの全国都道府県対抗選手権大会を開催するなど、両大会が新たな時代のコンセプトにあった盛り上がりとなるよう努め、開催後の本県が飛躍するきっかけとしてまいります。

東京オリンピック・パラリンピックにつきましては、来月12日をもって開会まであと500日となります。茨城カシマスタジアムでの開催に向けて、案内やおもてなしを行う都市ボランティアの研修や交通輸送対策などを着実に進めるとともに、県内での聖火リレーや大会と同時に実施する公式イベントの準備を行うなど、大会成功に向けた取組みを進めてまいります。

今後とも関係団体等と連携し、開催準備を着実に進めていくとともに、事前キャンプの誘致や受入環境整備について市町村と連携・協力のもと取り組んでまいります。

 

(活力を生むインフラと住み続けたくなるまちづくり)

次に、活力を生むインフラと住み続けたくなるまちづくりについてであります。

県内の高速道路につきましては、東関東自動車道水戸線の未開通区間である潮来インターチェンジから鉾田インターチェンジ間の整備が進められるとともに、暫定2車線で供用中の圏央道は、2024年度の完成を目標に4車線化事業が進められております。高速道路ネットワークの完成により、さらなる企業立地の促進や観光交流の拡大などが期待されることから、引き続き、国等に整備推進を働きかけてまいります。

本県の二大都市である県都水戸と国際研究学園都市つくばの両都市間において、ビジネスや観光、経済、学術、文化などあらゆる分野での交流・連携を促進し、県域全体の活性化につなげていくため、水戸・つくば間の高速バスの増便実証実験に取り組み、交通ネットワークの強化を図ってまいります。

港湾事業につきましては、茨城港日立港区において、防波堤の整備を進めるとともに、常陸那珂港区においては、中央ふ頭地区の新たな水深12m岸壁の整備などを進めてまいります。また、コンテナ貨物の集荷を促進するとともに、航路の拡充を図るなど、安全で使いやすい港づくりに努めてまいります。

茨城空港につきましては、先に申し上げました香港チャーター便の運航を発表したところでありますが、訪日需要の旺盛な東アジア、東南アジアを中心にチャーター便の誘致を進め、新たな定期便の就航につなげていくとともに、本県への誘客促進を通じてソウル便、台北便、上海便の定着を図ってまいります。また、国内線につきましても、引き続き、ビジネスや観光での利用促進に取り組んでまいります。

県北地域の振興につきましては、茨城県北芸術祭に代わるものとして、重点的に取り組む政策パッケージをとりまとめ、県北振興チャレンジプランとして先日公表したところであります。将来人口の大幅な減少が見込まれる県北地域の活力を維持していくため、ひたち臨海クリエイティブゾーンと奥久慈清流里山ゾーンのそれぞれの地域の課題や特性を踏まえ、雇用の創出につながる産業拠点の形成支援や、先に申し上げた有機農業モデル団地などの産業振興を進めてまいります。自然や文化遺産などの多様な地域資源をつなぐロングトレイルコースの設定や、県北ならではの食を通じて自然や文化を楽しむガストロノミーツーリズムなどの新しいツーリズムの推進にも取り組むとともに、ジャイアントパンダの誘致に向けた協議会の設立や、IRの可能性も含めた、地域の特性を活かした新たなリゾートに関する検討を行うなど、様々な分野における施策に部局横断的にしっかりと取り組んでまいります。

 

(第4例その他)

次に、条例その他について申し上げます。条例は、改正するもの26件であります。

一部改正を行うものといたしましては、先に申し上げた組織改正に係る「茨城県行政組織条例の一部を改正する条例」などであります。条例以外の議案といたしましては2件で、「包括外部監査契約の締結について」などであります。

以上で説明を終わりますが、なお詳細につきましては、お手元の議案書などによりご審議の上、適切なご議決を賜りますようお願いを申し上げます。

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