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更新日:2019年6月6日
はじめに、謹んで一言申し上げます。
天皇陛下におかれましては、先月1日にご即位されましたことを、県民とともに心からお慶び申し上げます。
天皇陛下の御健勝と皇室のますますの御繁栄をお祈り申し上げますとともに、令和という新しい時代が、豊かで希望に満ちあふれたものとなるよう、心から願います。
次に、令和元年第2回定例会の開会に当たり、提出いたしました議案等の説明と報告を申し上げます。
まず、新しい茨城づくりに向けた取組みについてでございます。
平成の30年間で、社会の情報化やグローバル化が進展し、私たちの生活は大きく変わりました。パソコンやインターネット、スマートフォンなどが普及し、世界中の膨大な情報を、誰もが気軽に活用することができるようになり、大量の情報を瞬時にやり取りすることが可能となりました。それによって、社会の変化のスピードが、以前とは比較にならないほど速くなり、個人や企業、国家、地方自治体など、様々な主体による競争の激化につながっています。
一方、晩婚化・未婚化の進展や、生活環境の改善・医療技術の進歩等により、我が国は、かつて経験したことのない人口減少と少子高齢化に直面することとなりました。本県の人口も、平成の半ば頃には減少に転じており、高齢化率は、30年間でおよそ3倍に上昇し、間もなく、3人に1人が高齢者となることが見込まれています。
このような、社会構造の大きな変革期にあっては、我々も、これまでの考え方を根底から変えていく必要があります。立ち止まっていては、現状維持さえも難しい、そのような時期に、変化を恐れ、改革を躊躇していては、本県の衰退は避けられません。人口減少が進む今が、本県にとって、まさに正念場であり、未来に希望を持てる茨城県を築いていくための重要な時期なのであります。
令和がどのような時代になるか、正確に予測することは誰にもできませんが、茨城県を、社会がどのように変わろうとも適応できる力を持つ県とするために、今このとき、失敗を恐れず、チャレンジしていかなければならないのです。
私は、これからもその先頭に立って、県民の皆様とともに、「新しい茨城」への挑戦に全力で取り組んでまいります。
次に、医師確保に向けた取組みについてであります。
昨年9月に公表した最優先で医師確保に取り組む医療機関・診療科につきましては、政策医療を確保する観点から、県内5つの医療機関、4つの診療科の合計17名を目標に、2年以内の必要医師の確保を目指しているところであります。
このため、当面、本年4月からの確保に向けて、昨年度開設した県地域医療支援センターのウェブサイトに専用ページを設け、県外医師のUIJターンを積極的に促進するとともに、新たに任命した「いばらき医療大使」の協力等も得ながら、県外も含め医科大学との新たな協力関係の構築を模索してまいりました。
特に、寄附講座の設置による医師の派遣につきましては、3月末まで派遣元との交渉を進めてきたところであり、筑波大学から日立製作所日立総合病院に対して、昨年12月に産婦人科医4名、本年3月には小児科医1名の派遣が決定し、現時点で計5名の必要医師を確保いたしました。
一方、目標達成には、さらに12名の医師確保が必要であることから、取組みを一層加速させるため、当初予算に計上している、医科大学への寄附講座の設置による医師の派遣に加え、医師個人や各病院への直接的な働きかけといった新たなアプローチによる追加対策にスピード感を持って取り組むこととし、今回、関係経費を計上した補正予算案を提出いたしました。
今後とも、抜本的な医師不足の解消に向けて、「医師不足緊急対策行動宣言」に基づく政策パッケージを着実に推進するとともに、今回提案した新たな追加対策に全力で取り組むなど、あらゆる手段を講じて医師を確保し、医療提供体制の充実を図ってまいります。
次に、地域医療の充実についてであります。
鹿行南部地域では、同地域における救急医療をはじめとした医療提供体制の強化を図るため、本年4月1日に、神栖済生会病院が鹿島労災病院を統合し、来月1日に、鹿島労災病院の跡地に分院を開院することとなりました。
医師不足が深刻な同地域において、医療資源の集約化が図られることにより、急性期医療などの安定的な提供が期待されることから、両病院の統合について、積極的に支援してきたところでございます。
今後とも、地域医療構想に基づき、県内各医療圏において再編統合も含めた医療機関相互の機能分化や連携を促進し、地域医療の充実・強化に努めてまいります。
次に、保健所の再編整備についてであります。
昨年度開催した「保健所再編検討懇話会」の意見を踏まえ、地域保健対策の拠点である保健所の体制を強化するため、専門性の確保や健康危機管理の観点から、現在12ある保健所を9か所に再編する、行政組織条例等の改正案を提出いたしました。
保健所の再編に併せて、各種相談や申請の受付などを行う支所を設置するほか、市町村への権限移譲などを進めていくことにより、地域保健のサービス水準の確保・向上を図ってまいります。
次に、いわゆるLGBT等、性的マイノリティへの支援についてであります。
誰もが生きづらさを感じることのないダイバーシティ社会づくりを推進するため、現在、性的マイノリティへの理解増進のための啓発や相談体制づくりなどの取組みを進めているところです。
去る4月には、性的マイノリティの当事者や有識者、県議会の代表者等を構成員として、性的マイノリティへの支援策についての勉強会を設置し、当事者の実情を踏まえた対応を幅広く検討していただきました。今後は、勉強会での議論を踏まえ、性的マイノリティの皆様が安心して日常生活を過ごすことができるよう、最大限の取組みを進めてまいります。
次に、G20茨城つくば貿易・デジタル経済大臣会合の開催についてであります。
いよいよ今月8日から、つくば国際会議場で大臣会合が開催されます。これまでに、警備や救急医療などの対応に、万全の体制を整えるとともに、心のこもったおもてなしを提供できるよう準備を進めてまいりました。
また、海外メディアツアーなどを実施し、つくば市を中心とした最先端の科学技術や、優れたものづくり技術の集積を誇る茨城の姿、農産物や美しい自然に恵まれた茨城の魅力を世界に発信してきたところであります。
明日7日の歓迎レセプションにおいては、県産品を使用した食の提供などにより、各国の代表団を温かくお迎えし、本県の魅力を大いにPRしてまいりたいと考えております。
さらに、大臣会合を契機に、海外のバイヤーや外資系企業などを招へいして、輸出や投資などに関する商談会を開催し、本県への企業誘致や観光誘客につなげてまいります。
次に、海外に向けたトップセールスについてであります。
去る4月、台湾を訪問し、世界最大の自転車メーカーでありますジャイアント社や、茨城空港への定期便が就航しておりますタイガーエア台湾、さらには経済交流団体と、関係の強化や交流の拡大などに向けた意見交換を行ってまいりました。
また、先月12日から14日までの3日間、ロシアを訪問し、日ロ知事会議に出席してまいりました。会議では、私から、本県の誇るビジネス環境や科学技術の集積、宇宙ビジネスへの支援などについて紹介し、日本とロシアの地域間交流の促進に向けた意見交換等を行ってまいりました。
今後とも、訪問先との緊密な連携を維持するとともに、観光誘客や経済交流の促進、地域間における更なる連携強化に向けて、積極的に取り組んでまいります。
次に、観光の振興についてであります。
今年のゴールデンウィーク期間中には、国内外から、過去最多となる334万人もの方々に、国営ひたち海浜公園や笠間の陶炎祭、常陸大津の御船祭、神峰神社大祭礼など、県内各地にお越しいただきました。
4月28日には、本県初となる外国クルーズ船「セブンシーズマリナー」が、茨城港に寄港したほか、4月28日から5月2日にかけては、茨城空港において、ベトナムの航空会社バンブーエアウェイズによる、日本初乗り入れとなるチャーター便が運航されました。
今後とも、クルーズ船の誘致や茨城空港の利用促進を含めた国内外からの観光誘客を進め、稼げる観光地域づくりが図られるよう、観光資源の磨き上げやプロモーション活動を積極的に推進してまいります。
次に、偕楽園の魅力向上・有料化についてであります。
偕楽園については、これまで、入園を無料としておりましたが、施設の更なる魅力向上を図るため、去る3月に実施した実証実験の結果や、「偕楽園公園魅力向上懇談会」を始め、様々な方からいただいた意見等を踏まえ、今定例会に、偕楽園本園の有料化を行う、都市公園条例の改正案を提出いたしました。
偕楽園を県内随一の観光周遊拠点とするために、今後とも、更なる魅力向上と誘客促進に取り組んでまいります。
次に、企業立地の推進についてであります。
平成30年の工場立地動向調査によりますと、本県の工場立地面積は前年比69パーセント増、県外企業立地件数は前年比13パーセント増と大幅に増加し、ともに全国1位となるなど、全国トップクラスの実績となりました。
また、昨年度、全国トップレベルの補助制度を創設するなど、私が特に力を入れて取り組んでおります成長分野の企業の本社機能移転についても、これまでに8社の移転計画を認定するなど、大きな成果があがっております。
引き続き、企業立地補助金や税制上の特例措置などを最大限活用するとともに、首都圏への近接性など本県の立地環境の優位性をPRし、若者が望む質の高い雇用の場を出来る限り多く創出できるよう、積極的な企業誘致に取り組んでまいります。
次に、スマートシティの構築に向けた取組みについてであります。
人口減少が進む中、住みたい、住み続けたいと思える魅力的なまちづくりが求められていることから、AIやIoTなどを活用して都市・地域の課題解決につなげる「スマートシティ」の実現に向けた取組みとして、筑波大学等と連携し、モビリティに関する課題解決モデルを国に提案したところ、先月31日、全国の牽引役となる先駆的な取組みを行う「先行モデルプロジェクト」の一つに選定されました。
今後、事業の推進母体となる協議会を設置して、バス乗降時の顔認証によるキャッシュレス決済や自動運転の実証実験、交通流データのAI解析などの取組みを茨城モデルとして構築し、全国展開を図ってまいります。
次に、宇宙ビジネスの拠点形成についてであります。
昨年8月に立ち上げました「いばらき宇宙ビジネス創造拠点プロジェクト」の一環として、宇宙ビジネスに取り組む県内企業等を、アイデア段階から事業化まで総合的に支援するため、去る4月23日に、県内企業や投資家等からなる「いばらき宇宙ビジネス創造コンソーシアム」を設立いたしました。
今後、ビジネスコーディネーターによる指導・助言や、国・JAXA等による情報提供を通して、多くの企業が、宇宙ビジネスに挑戦できる拠点の形成を図ってまいります。
次に、外国人材支援センターの設置についてであります。
県内企業の深刻な人手不足に対応するため、去る4月1日、水戸市内に、外国人材支援センターを設置いたしました。これまでに、外国人の雇用を検討している企業などから、多くの相談が寄せられており、今月下旬には、県内2会場で、外国人の受け入れ方などに関する企業向けのセミナーを開催することとしております。
今後は、新たな在留資格である「特定技能」を取得して就労を希望する外国人材と、県内企業との就職マッチングなどを実施し、本県の産業を支える人材を確保するため、多くの外国人から選ばれる環境整備に、しっかりと取り組んでまいります。
次に、防災体制の充実・強化に向けた取組みについてであります。
近年頻発・激甚化する豪雨に対して、洪水時に住民の方々に迅速・適切な避難行動をとっていただくため、県が管理する治水優先度の高い15の河川について「水害危険度マップ」を作成し、先月31日に公表いたしました。
今後、「水害危険度マップ」で示した洪水時に注意が必要な箇所等について、住民一人ひとりが避難について考える「マイマップ」や「マイ・タイムライン」の作成を促進し、県民の水防災意識の向上に取り組んでまいります。
また、「平成30年7月豪雨」の教訓などを踏まえ、先月、市町村が避難勧告等を躊躇せず早期に発令できるよう、発令に係る基本的な考え方をとりまとめました。
この考え方に基づき、市町村において、この夏からの、台風が多発する時期に備え、発令基準の策定や改定を速やかに行っていただくよう働きかけるとともに、災害時に、住民の適切な避難行動がとられるよう、市町村と連携し、取組みを進めてまいります。
次に、中高一貫教育の推進についてであります。
社会の変化や教育を取り巻く状況の変化に的確に対応するため、去る2月、「県立高等学校改革プラン」を策定し、その中で、中高一貫教育校10校の新設を公表いたしました。
3月から5月にかけて、太田第一高等学校など、来年度開校する5校について、小学生、保護者、教育関係者等を対象として、説明会を開催したところ、約4千人もの方々にご参加いただきました。
令和3年度以降に開校を予定している5校と併せ、地元の市と連携して開校に向けた準備を進め、地域のリーダーや世界に飛び立つ人財の育成を図ってまいります。
次に、茨城国体・全国障害者スポーツ大会の開催準備についてであります。
両大会の開催まで100日余りとなり、先月25日と26日の2日間、障害者スポーツ大会の競技別リハーサル大会を実施するなど、開催に向けた準備を着実に進めているところであります。
また、先月から、県民の皆様に幅広く参加していただけるデモンストレーションスポーツの競技会を開催しているところであり、10月までの間、県内各地で様々な競技を実施してまいります。両大会の開催を機に県民の皆様にスポーツに親しんでいただくとともに、本県スポーツのより一層の普及・振興につなげてまいります。
さらに、両大会と併せて開催する全国都道府県対抗eスポーツ選手権につきましては、現在、全国各地において、代表決定戦を開催しております。
全国に先駆けて開催するeスポーツ選手権を通じ、本県の魅力をアピールできるよう、引き続き取り組んでまいります。
次に、東京オリンピック・パラリンピックの開催準備についてであります。
先月、観戦チケットの抽選受付が開始され、今月1日には、オリンピック聖火リレーのルートとなる市町村が公表されるなど、いよいよ開催が近づいてまいりました。
来月1日からは、各都道府県実行委員会による聖火ランナーの公募が開始されるなど、開催に向けた機運が一層高まる中、都市ボランティアの研修や交通輸送対策など茨城カシマスタジアムでの大会開催準備を着実に進めるとともに、県内での聖火リレーや、大会と同時に実施する公式イベントの準備を行うなど、引き続き関係団体等と連携し、大会成功に向けた取組みを進めてまいります。
最後に、提出議案等について御説明申し上げます。
今回の提出議案は、予算の補正に関するもの1件、条例その他18件、報告2件であります。
まず、一般会計の補正予算についてであります。
今回の補正予算につきましては、先に申し上げました医師確保に係る追加対策について、総額54百万円の予算措置を講じることといたしました。この結果、補正後の一般会計予算の総額は、1兆1,357億68百万円となります。
財源としましては、一般財源基金からの繰入金を充当することとしました。
条例は、先に申し上げました「茨城県行政組織条例等の一部を改正する条例」や「茨城県都市公園条例の一部を改正する条例」など、改正するもの11件であります。
条例以外の議案としては7件で、「水戸市の中核市指定に係る申出について」などであり、報告は、専決処分の報告であります。
以上で、提出議案等の説明を終わりますが、なお詳細につきましては、お手元の議案書等により御審議の上、適切な御議決を賜りますようお願い申し上げます。
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